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  1. 世田谷区議会 1992-09-14
    平成 4年  9月 定例会−09月14日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-04
    平成 4年  9月 定例会−09月14日-01号平成 4年  9月 定例会 平成四年第三回定例会 世田谷区議会会議録 第十号 九月十四日(月曜日)  出席議員(五十五名) 一番   南里吉彦君 二番   新田勝己君 三番   石井徳成君 四番   石塚一信君 五番   近岡秀輔君 六番   唐沢敏美君 七番   高橋忍君 八番   西村孝君 九番   諸星養一君 十番   薗部みどり君 十一番  飯塚和道君 十二番  真鍋欣之君 十三番  山内彰君 十四番  小谷勝君 十五番  広島文武君
    十六番  土橋賀君 十七番  下条忠雄君 十八番  大庭正明君 十九番  斉藤国男君 二十番  上地良昌君 二十一番 中嶋義雄君 二十二番 市川康憲君 二十三番 浜中光揚君 二十四番 原秀吉君 二十五番 荒木義一君 二十六番 内藤義雄君 二十七番 宮田玲人君 二十八番 長谷川佳寿子君 二十九番 森川礼子君 三十番  森田イツ子君 三十一番 長谷川義樹君 三十二番 増田信之君 三十三番 小口義晴君 三十四番 星谷知久平君 三十五番 三田真一郎君 三十六番 内山武次君 三十七番 平山八郎君 三十八番 大高定左右君 三十九番 小畑敏雄君 四十番  東まさ君 四十一番 丸山孝夫君 四十二番 中塚護君 四十三番 和田勉君 四十四番 吉本保寿君 四十五番 宇田川国一君 四十六番 鈴木昌二君 四十七番 中村大吉君 四十八番 山口昭君 四十九番 五十畑孝司君 五十番  土田正人君 五十一番 笹尾淑君 五十二番 田沼繁夫君 五十三番 三田てい子君 五十四番 村田義則君 五十五番 山崎治茂君  出席事務局職員 局長     津吹金一郎 次長     関昌之 課長補佐   広瀬孝雄 議事主査   林憲一 議事主査   近藤功 議事主査   山田政孝 調査係長   本多俊一  出席説明員 区長     大場啓二君 助役     吉越一二君 助役     川瀬益雄君 収入役    菊池佳丈君 世田谷総合支所長        浜田昭吉君 北沢総合支所長        西倉義憲君 玉川総合支所長        成富則紀君 砧総合支所長 友保信二君 烏山総合支所長        森勇君 区長室長   多賀井信雄君 企画部長   田中勇輔君 総務部長   清水潤三君 地域調整室長 鎌田一郎君 税務経理部長 宮崎幸男君 区民部長   大島冨士男君 生活環境部長 市川一明君 産業振興部長 峯元啓光君 福祉部長   大淵静也君 衛生部長   工村房二君 都市整備部長 鈴木蓊君 都市開発室長 谷田部兼光君 建設部長   安齋史郎君 道路整備部長 森尚之君 教育長    小野原進君 教育総務部長 冨士静悦君 企画課長   平谷憲明君 財政課長   武藤峻君 総務課長   齋藤秀和君   ──────────────────── 議事日程(平成四年九月十四日(月)午後一時開議)  第一 議案第八十二号 平成四年度世田谷区一般会計補正予算(第一次)  第二 議案第八十三号 平成四年度世田谷区国民健康保険事業会計補正予算(第一次 )  第三 議案第八十四号 平成四年度世田谷区老人保健医療会計補正予算(第一次)  第四 議案第八十五号 平成四年度世田谷区中学校給食費会計補正予算(第一次)  第五 議案第八十六号 世田谷区基本構想審議会条例  第六 議案第八十七号 世田谷区農業委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例  第七 議案第八十八号 仮称世田谷区立砧図書館新築工事請負契約  第八 議案第八十九号 仮称世田谷区立上用賀文化施設内装工事請負契約  第九 議案第九十号 世田谷区立区民センター条例の一部を改正する条例  第十 議案第九十一号 世田谷区福祉奨学資金等貸付条例の一部を改正する条例  第十一 議案第九十二号 世田谷区立精神薄弱者援護施設条例  第十二 諮問第一号 人権擁護委員候補者推薦の諮問  第十三 議案第九十三号 世田谷区営住宅管理条例の一部を改正する条例  第十四 議案第九十四号 世田谷区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例  第十五 議案第九十五号 世田谷区都市計画審議会条例の一部を改正する条例  第十六 議案第九十六号 世田谷区立児童遊園条例の一部を改正する条例  第十七 議案第九十七号 負担附贈与(仮称世田谷区営鎌田二丁目アパート・世田谷区営桜上水三丁目アパート等)の受入れ
     第十八 議案第九十八号 財産(仮称世田谷区職員住宅若林住宅用建物)の取得  第十九 議案第九十九号 特別区道路線の認定  第二十 同意第五号 世田谷区名誉区民選定の同意  第二十一 同意第六号 世田谷区名誉区民選定の同意  第二十二 同意第七号 世田谷区名誉区民選定の同意  第二十三 同意第八号 世田谷区名誉区民選定の同意   ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定  三、代表質問  四、諸般の報告  五、日程第一から第八 企画総務委員会付託  六、日程第九 区民生活委員会付託  七、日程第十及び第十一 福祉保健委員会付託  八、日程第十二 委員会付託省略、表決  九、日程第十三から第十九 都市整備委員会付託  十、日程第二十から第二十三 委員会付託省略、表決   ────────────────────     午後一時開会 ○議長(小畑敏雄 君) ただいまから平成四年第三回世田谷区議会定例会を開会いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) これより本日の会議を開きます。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   七  番 高橋 忍君   四十八番 山口 昭君を指名いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、会期についてお諮りいたします。  今次定例会の会期は本日から二十二日までの九日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご異議なしと認めます。よって会期は九日間と決定いたしました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、この際、出席説明員について異動がありましたので、ご報告いたします。  お手元の、出席説明員一覧表のとおりでございますので、ご了承願います。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、区長から招集のあいさつの申し出があります。大場区長。    〔区長大場啓二君登壇〕(拍手) ◎区長(大場啓二 君) 平成四年第三回世田谷区議会定例会の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。  先日、無事開所式を終了しました第三庁舎内の世田谷総合支所が、本日から業務を開始いたしました。これまで窓口が分散するなど、来所される方々には何かとご不便をおかけしてまいりましたが、第三庁舎の完成に伴い、サービスの一層の向上に努力してまいりたいと考えております。世田谷総合支所の開設により、世田谷地域の窓口の一元化が実現するとともに、懸案でありました五地域の拠点が整備される運びとなった次第であります。本日を機に、「もっと身近に、もっと便利に、打てば響くまちづくり」を実現する地域行政制度のさらなる推進のために、全庁を挙げて取り組んでまいりたいと、意を新たにしております。  地域行政制度は、区民本位のまちづくりを目指す世田谷区独自の自治の仕組みでありますが、特別区制度の改革につきましては、平成二年、地方制度調査会から答申が出されて以降、都区間で事務レベルでの協議を進めてまいりました。制度改革はこの一、二年が正念場であるとの認識のもと、区長会、議長会でも、今後関係方面への働きかけを強化するなど、最大限の努力を重ねていくこととしております。  世田谷“市”実現をめざす区民の会でも、区民、議会、区の三者が一層緊密に協力して制度改革に取り組むこととし、その一環として、九月二十七日、世田谷大会を開催することを決定いたしました。私も皆様とともに、特別区の自治権拡充のために全力を挙げて取り組んでいく決意であります。  ところで、本年は、世田谷区が誕生して六十年という節目の年であります。意義深い年を迎え、五月に美術館で開催した「ゴッホと日本展」を皮切りに、区民の皆様とともに喜びを分かち合える記念事業を企画いたしましたが、五地域ごとに開催される記念式典も間近に迫ってきております。  また、区民生活や文化の向上に卓越したご貢献をされ、世田谷の誇りとして広く敬愛されておられる方を、名誉区民としてその功績をたたえ、これまで十人の方を顕彰申し上げてまいりました。区制六十周年に当たり、先般、区議会、学識経験者を初め、幅広い分野の代表で構成された名誉区民選考委員会から、慎重ご審議の上、四人のご推薦をいただいたところであります。これらの方々につきましては、本議会に同意案件として提案申し上げており、ご同意を賜りました後、十月一日に顕彰申し上げたいと考えております。  さらに、学術、技芸などを通じて、本区の文化の発展に寄与された方への特別文化功労章、区政の発展に貢献された方への特別功労章の贈呈及び功労による表彰もあわせて実施してまいります。  さて、区政運営の憲法とも言える基本構想も、策定以来十四年を経過し、このたび世田谷区基本構想審議会条例をご提案申し上げたわけであります。区長公選後策定された基本構想は、この間激動する社会経済情勢の変化に対応し、科学的、計画的行政運営の指針として機能し、活力ある福祉社会の推進に寄与してまいりました。しかしながら、二十一世紀を目前に、環境問題を初めとする新たな課題や、大きな変化が予想される国際化などの諸状況にこたえられるまちづくりの指針が求められており、審議会を設置し、基本構想の検討を進めることとした次第であります。  これまで議会を初め、区民の皆様とともに培ってまいりましたまちづくりの成果を、さらに発展させるとともに、幅広い皆様の知恵を活用して、新しい時代にマッチした基本構想の策定に向けて、鋭意努力してまいりたいと考えております。議員各位並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。  残暑厳しい日々が続いたことしの夏でございましたが、区制六十周年記念事業として開催された多摩川での花火大会や、心のふれあいを合い言葉に、第十五回を迎えたふるさと区民まつりも、大勢の参加者であふれる中、成功裏に終了いたしました。区民まつりは、前夜祭を含む三日間を通じて、三十万人を超える参加者でにぎわうとともに、参加自治体も二十四を数え、過去最高と記録いたしました。十五回という節目の年を迎え、世田谷通りを舞台に、区民パレード、みこしや太鼓の練り歩きが初めて試みられるなど、祭りの内容もこれまでになく充実したものとなりました。祭りを通じて、ふるさと意識も一層高まりを見せるとともに、他都市との交流を含むふれあいの輪が着実に広がっていることを実感した次第であります。企画委員会、実行委員会、区議会を初め、祭り開催に当たり、ご尽力いただいたすべての皆様に深く感謝申し上げます。  また、例年九月一日に行われております防災訓練も、本年は、東京都と世田谷区による初の合同総合防災訓練として、従来の訓練と比較し、規模、内容ともに大がかりなものとして実施されました。八月三十一日に実施された夜間訓練に続き、九月一日には厳しい暑さの中、防災関係機関を初め、三万五千人に上る区民の皆様の参加を得て、防災訓練が行われました。地震を含む災害の発生を予知することは困難なことではありますが、訓練の成果を存分に生かしながら、区民の皆様の生命と財産を災害から守る施策の一層の充実に向けて全力を挙げてまいります。  災害に強いまちづくりの推進は、新基本計画が掲げる五つの分野別計画の中の、安全で住みよい都市づくりの推進を構成する施策の一つであります。この分野別計画には、三軒茶屋の再開発計画を含む市街地の整備、活力ある生活拠点の形成という施策の体系があります。三軒茶屋の再開発は、商業・業務機能や、文化・情報機能の高度な集積を目指して、再開発などによる総合的なまちづくりを推進し、魅力ある広域的な生活拠点を形成することを目的としています。  特に第二工区の再開発につきましては、組合施行の市街地再開発事業として、昭和六十三年八月、都市計画決定されました。その後、組合設立認可手続、事業の最大の山場である権利者全員による権利変換計画を終了し、本年八月、都知事認可を受け、いよいよ事業着工の運びとなりました。施設といたしましては、商業・業務機能のほかに、区の中心的な施設として、文化・生活情報センターなどの新しい機能が計画されております。区民の活発な文化活動を支援するばかりではなく、区民の交流、憩いの場としての拠点となる文化・生活情報センターには、大きな役割が期待されるところであります。三軒茶屋再開発計画が名実ともに二十一世紀に向けて三軒茶屋の活性化の核となるよう、今後ともその推進に全力を尽くしてまいります。  また、小田急線連続立体交差事業につきましては、喜多見駅付近から梅ケ丘駅付近について、都市計画素案の説明会に続き、本年一月、都市計画案及び環境影響評価書案の地元説明会を開催いたしました。さらに、事業者である東京都と小田急電鉄が、環境影響評価書案に対する住民意見にこたえるため、見解書の地元説明会を八月五日から十二日にかけて行ったところであります。その後、環境影響評価書案の見解書に対する区長意見を、専門家等による環境影響調査検討会に諮り、九月三日に東京都知事に提出したところであります。  今後の都市計画に関する手続の予定でありますが、東京都は東京都都市計画地方審議会への諮問を、十二月に予定して準備を進めていると聞いております。区といたしましては、議会のご意見も伺いながら、東京都から意見照会のあった計画案と、区の側道、公園計画について、十月に開催される予定の世田谷区都市計画審議会に諮問してまいりたいと考えております。  小田急線の連続立体交差事業は、区民からも早期実現を強く求められており、地域分断や交通渋滞を解消し、区民生活の向上を図るとともに、沿線地域のまちづくりを進めるためにも、区民の皆様の理解をさらに深め、事業の推進に向けて一層の努力をしてまいりたいと考えております。  さて、バブル経済の崩壊による景気後退が、区民生活のいろいろな局面にも影響を及ぼしております。特に、区内中小企業への影響は深刻であり、その対策が急がれているところであります。そこで、区としては一時的に現行融資あっせん制度を拡充し、融資利率の引き下げなどにより、経営負担の軽減を目的とした緊急融資を実施することといたしました。これは人手不足や操業短縮、売り上げ不振など、経営状況が下降傾向にある中小零細企業を対象に、厳しい状況にある資金調達を側面から支援するものであります。  また、区内中小企業に勤務する方を対象に、出産など緊急に資金が必要とする場合に融資をあっせんする勤労者生活資金の利率につきましても、七月十五日から引き下げているところであります。  さらに、融資経営相談を区内五カ所で開設し、専門相談員が各種相談に対応しておりますが、相談事業の一層の周知、内容の充実に努め、多くの方々の需要にこたえてまいりたいと考える次第であります。  次に、学校における週五日制について申し上げます。  学校教育法施行規則の改正に伴い、区立の幼稚園、小中学校でも、九月から第二土曜日が休みとなりました。学校の週五日制は、これからの時代を生きる子供たちの望ましい人間形成を図ることを趣旨としております。土曜日が休みとなることにより、時間的、精神的なゆとりが生まれ、家庭における親子の触れ合いが増すことなどが期待されるところであります。区としても、教育水準の維持に配慮するとともに、地域の皆様とも協力して、子供たちが有意義に過ごすことのできる受け入れ態勢の整備に努めてきました。今後とも、家庭、地域とも一層連携を深めながら、次の時代を担う子供たちが、たくましく、健やかに育つ環境整備に努力してまいります。  次に、都区財政調整交付金並びに補正予算案について申し上げます。  まず、去る七月に開催されました都区協議会で、本年度の都区財政調整が合意に達し、区別の算定が決定いたしました。本区につきましては、基準財政収入額が一千二百二十三億八千八百余万円、基準財政需要額が一千三百四十三億七千九百余万円と算定され、この結果、差し引き普通交付金は百十九億九千百余万円と相なりました。このたびの算定額は、当初予算に計上いたしました額を約四十億円上回るものでございます。  これは、本区の基準財政収入額の算定において、特別区民税の伸びが二十三区全体の伸び率を下回ったことや、利子割交付金、自動車取得税交付金が前年度より落ち込んだことにより、収入額が伸びなかったことが原因であります。  また、基準財政需要額につきましては、特別養護老人ホームの用地取得費や、旧国鉄用地取得費が算入されるなど、需要額の確保に努めてまいりました。この結果、基準財政需要額の伸びが、収入額の伸びを上回ったことによるものと考えております。  次に、一般会計補正予算案について申し上げます。  一般財源といたしましては、財産収入、純計繰越金を増額しております。また、特定財源として、都支出金や基金からの繰入金、特別区債などを追加財源として、総額百二億一千五百余万円の補正規模といたしました。  歳出面の主なものといたしましては、当初予算編成後に生じた法令や基準の改正に伴う経費のほか、文化・生活情報センターの整備経費、リサイクル事業の推進経費、生業資金貸し付けや、中小企業向け緊急融資の経費、まちづくり・道路用地の取得費などについて計上しております。また、中町小学校、玉川中学校校舎などの解体工事、並びに文化・生活情報センター整備事業にかかわる債務負担行為の設定を提案いたしました。  次に、特別会計でありますが、まず国民健康保険事業会計で、助産費の単価改定に伴う経費や繰越金を補正計上いたしました。  また、老人保健医療会計は、前年度に収入いたしました国庫支出金の清算にかかわる経費を計上いたしました。  中学校給食費会計においては、前年度の繰越金の補正計上であります。  以上が今回の都区財政調整と補正予算案の概要であります。  現在、区政を取り巻く財政環境は厳しい状況にあります。今後の財政運営に当たりましては、なお一層の努力を重ね、区民の皆様の期待にこたえてまいりたいと考えておりますので、議員並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。  さて、本日提案申し上げます案件は、「平成四年度世田谷区一般会計補正予算(第一次)」など、十八件でございます。これらはいずれも重要な案件でございますので、何とぞ慎重ご審議の上、速やかにご可決賜りますようお願い申し上げて、私のあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(小畑敏雄 君) 以上で区長のあいさつは終わりました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) これより日程に先立ちまして、代表質問を行います。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、公明党を代表いたしまして、三十一番長谷川義樹君。    〔三十一番長谷川義樹君登壇〕(拍手) ◆三十一番(長谷川義樹 君) 公明党区議団を代表しまして、ソフトパワーと行政のあり方ほか何点か質問いたします。  地域行政がスタートして一年半、今月には五つ目の総合支所庁舎もオープンし、本格的な行政サービスの展開が大いに期待されるところであります。「もっと身近に、もっと便利に」「打てば響くまちづくり」というキャッチフレーズも、言葉だけは区民に多少定着してきたかなと思いますが、その実質的な展開はこれからが本番であります。  タウンホールや世田谷総合支所の庁舎のような、大変立派な入れ物ができても、文字どおり「打てば響く」という行政サービスの展開がなければ、建物それ自体は絵にかいたもちにすぎません。そのためには、行政サービスに当たる人の問題、そのシステム、つまり、ソフトパワーをどう開発していくかが大きな課題であります。  ご存じのとおり、バブル経済の破綻が自治体財政に及ぼしている歳入不足の問題は、財務当局の話でも、相当深刻な実態であると予想されております。これまでのような、いわゆる箱物をつくっていくというハード面の施策は、一定限度抑制せざるを得ない状況に追い込まれていきます。が、一方で、高齢化や住宅、道路などの都市計画、環境対策など、自治体に求められている行政需要はますます大きくなりつつあります。  そこで何よりも重要なことは、むだのない実効性のある行財政の運営であります。施設などのハード面の効率的な整備はもちろんのこと、もう一つの柱として、行政サービスに携わる人の活性化、そのシステムの開発が強く求められているのではないかと思うわけであります。打てば響く行政が、かけ声だけの精神論で終わっては、その達成は非常に難しいことは明らかであります。打てば響く行政を、どうシステムとして開発するかが大切であります。  昨年、世田谷総合支所の区民係に相談に来られた方が、係員の対応が大変親切であったことに感動して、区に五千万円を寄附したという出来事がありました。このことは、反面、区の職員の親切な対応に感動した、この方の背景には、それまでの役所に対する感情がよくなかった。だから、その分、感動したということであるとも思われます。常に行政サービスの対応には、いわゆるお役所仕事という面があります。  今年六月の本会議で我が党の増田議員が指摘しましたように、区民会館の対応や苦情処理相談など、区民の立場から見ると問題ありということが数多く見受けられます。職員の中には、打てば響く行政なんて、いい迷惑だと思っている人も多いとも聞いております。  都庁に四十年勤めて、数々の著作を出している小野昇氏という方が、著書「自治体CIのビジョンと戦略」の中で次のように指摘しております。すぐれた人材がたくさんそろっているのに、それを生かして使う努力が足りない。だから、せっかくの人材も生き生きと働けない。生きがいを持てない。だから、行政サービスパワーも活力を失って、いわゆるお役所仕事が当たり前になっていく。株価に換算したら、なべ底なんていう役所も幾らでもあるのではないか。だから、住民は役所というところに、いまだに違和感を持って眺めているのではないかと述べています。この表現が世田谷区にそのとおり当てはまるとは思いませんが、あながち不的確な表現とは思えないのが、区民の率直な感情ではないか。  そこで、具体的に何点か質問いたします。  区はCIの手法として、「打てば響くまちづくり」というキャッチフレーズを生み出し、区政の基本的なスタンスを明らかにしました。このことは大変評価するものでありますが、その後、CI手法の具体化にどう取り組まれてきたのか。また、今後、職員の意識改革、行政サービスの改善に対し、どう取り組んでいこうとするのか、お伺いしたいと思います。  区は、公共施設整備指針の策定に入っていると聞いております。その整備指針の基本的な考え方は何か。またその中に、公共施設の使い勝手の問題、すなわち利用時間の拡大、利用システムの開発、さらには職員の人材活性化対策など、ソフト面での思い切った指針づくりについてはどうなのか、お伺いしたいと思います。  さらに、この質問に関連して、第三セクターの問題についてお伺いしたい。  週休二日制、時短、職員数の抑制など、職員の全体の就労時間は少なくなってまいります。が、一方で、行政需要はどんどんふえていきます。この相反する現状の中で、行政サービスの低下を来さないようにするためには、当然、公社、財団などの第三セクターの組織を十分に活用することは当然のことであります。  しかし、心配な点があります。昨年、地方自治法が一部改正され、第三セクターの経営の幅が広がり、さらに活発な運営が可能となりました。区の第三セクターは既に、保健センター、都市整備公社、美術振興財団、せたがやトラスト協会、ふれあい公社、勤労者サービス公社、体育協会などの財団法人、そして株式会社サービス公社、シルバー人材センター、社会福祉協議会など、多岐にわたっています。さらに、三軒茶屋にできる文化・生活情報センターも財団の運営にすると聞いておりますし、特養ホームや在宅介護支援センターなどの人材確保のために、社会福祉事業団の設立も予定されています。  行政ニーズの拡大に対応するためには、これら第三セクターの活性化がますます重要ですが、我々議会から見ると、どうもその実態が見えにくいのであります。第三セクターでありますから、区の行政機関に比べて議会の関与も少ないし、またそれが第三セクターの裁量権をある程度保障し、多様な行政需要に対応できるというメリットがあることは事実であります。しかし、区民の目から見ますと、第三セクターであろうと区の直接の行政機関であろうと、同じ区がやっているとしか見ていない。  例えば、株式会社せたがやサービス公社の事業内容を見ますと、区から委託を受けた維持管理等の事業は、区民センター、区民会館、総合支所から始まって、自転車駐車場、温水プール、公園など、区の施設をほとんど網羅しているし、レストラン経営、物品販売事業、来宮や足柄荘などの保養所の賄い事業などにも拡大しています。このようなサービス公社の事業は、区民の日常接する行政の最前線で成り立っていると言っても過言ではありません。区民がサービス公社の従業員に接し、その対応にもし疑問を感じることが多ければ、打てば響く行政は、文字どおり砂上の楼閣になってしまいます。これはサービス公社だけの問題ではなく、福祉や環境などの分野の第三セクター全体の問題でもあります。  同志社大学の真山達志助教授は「自治体における市民ニーズと政策」という論文の中で、「いかに崇高な目的や革新的な内容を持った政策であっても、実務担当者のちょっとした対応のまずさで、市民にとっては最低、最悪の政策に見えることもある」と、住民と行政との関係を鋭く指摘しております。そして、第三セクターの問題に対して「民間委託した公共サービスにおいては、サービス供給者と顧客との間に展開される過程から得られる情報を、自治体の政策へフィードバックするメカニズムが弱い」と問題点を分析しています。  そこで質問ですが、昨年の決算委員会で我が党の質問に対して、区は、第三セクター活性化方針を策定すると答弁しました。その目的、課題、検討組織、スケジュールなど、どうお考えか、お伺いしたい。また、第三セクターの中で、議員が出席する評議会が設置されているものと、設置されていない第三セクターがあるのはなぜか、お伺いしたい。  さらに提案ですが、議員を構成メンバーに入れた第三セクター活性化評議委員会というような組織をつくるべきであると思いますが、どうでしょうか。  行政のあり方についての最後の質問は、地域行政制度の推進についてであります。  世田谷区の地域行政は、地方自治体内の分権化、分散化という時代の要請に対応した画期的な試みであり、全国の自治体の中でもかなり注目されている制度であります。その意味で我々は、「打てば響くまちづくり」という行政を推進する最も重要な組織であると評価していますが、その制度の基本的な課題について、何点か質問いたします。
     地域行政のありようを考える場合、まずライフスタイルの多様化や高齢化、自由時間の拡大などに伴う市民ニーズの変化をどう的確に把握するのかが重要な課題であります。区は、まちづくり推進員、地区担当制、地区懇談会など積極的な取り組みをしていますが、その実効性にはかなり疑問の点があります。  例えば、総合支所ごとの地区懇談会の場合ですが、支所長を中心に町会や商店街などの代表と懇談し、要望を聞いていますが、果たしてそれだけで区民ニーズの正確な把握ができるのだろうかと思うわけであります。従来、地域においてその意見が代表されにくい年金生活者、一般の婦人、障害者、若者といった層の意見はどうなんだといいますと、それを吸い上げるシステムはほとんどないのが実態ではないかと思います。  イギリスやスウェーデンの地方自治体における都市内分権化、分散化の現状を見てみますと、市を割って幾つかの住区をつくり、そこに区の総合支所みたいな分区事務所を置く場合、そのほとんどが同時に、地域住民による住民評議会を併設しているのが実態であります。それは、地域住民の全体の声をいかに生かしていくかが重要な課題であるという基本的な考え方に基づいた政策であり、当然のことであります。この場合、住民評議会の委員をどう選出していくかが問題でありますが、外国の例では、議会の政党の構成比率に応じた委員を選出しているところもあります。  住民評議会をつくる場合、その委員の選出方法など区独自で考えるべきでありますが、問題は、地域行政を推進していくためには、どうしてもこの種の住民評議会のような組織は必要ではないかということであります。区の見解をお伺いしたいと思います。  また、総合支所の組織の問題でありますが、「もっと身近に、もっと便利に」という地域行政のメリットを生かせるのは、高齢者対策であります。福祉事務所が総合支所ごとに設置されたのはいいのですが、老人福祉手当や高齢者住宅の申し込み、在宅サービスセンターの入所、生きがい対策など、区の高齢対策室ですべて行っています。それを総合支所に分割し、第二庁舎の一階にある高齢者コーナーのような窓口を設置し、高齢者問題を一括して扱うシステムを考えていくべきだと思いますが、どうでしょうか。  地域行政の最後の質問ですが、総合支所長の裁量権の問題であります。  何回か委員会で述べていますので多くは語りませんが、ある意味で、地域行政の成否は支所長のリーダーシップにかかっているかもしれません。支所長が、難しい問題があればすぐ現場に飛び、指揮をとるというような機動性、政策の独創性、区民ニーズの的確な把握力、そして何よりも統率力などが強く要請されるわけであります。そのために、支所長は公正で、強力なリーダーシップが振るえるような財政、人事などの裁量権の拡大に対してどうお考えかお伺いして、次の質問に入ります。  住宅問題についてお伺いします。  我々公明党は、昭和五十三年の基本構想策定以来、住宅対策を区政の最重要課題と位置づけ、機会あるごとにさまざまな主張を展開してまいりました。その結果、平成二年には、全国に先駆けて、世田谷区住宅条例を策定し、また、ことし四月には、より具体的に住宅供給計画、供給目標を明示した住宅整備方針を策定、発表されたことは最大限に評価するところであります。定住を希望する人に定住を保障するという住宅政策は、国から地方自治体に至るまで、すべて行政体に共通する基本的責務であると言っても、決して過言ではありません。  残念ながら現状においては、国の法体系の未整備によって、我々地方自治体に可能な対策の範囲が限定されているとはいうものの、いずれ住宅対策は国や都の一元的管理から、各基礎的地方自治体に権限、財源が委譲されていく方向にあることは明らかであります。  そのような中長期的な流れを見据えた上での当区の住宅対策の進展は、先駆的自治体を目指す世田谷区に、極めてふさわしい試みであると我々は判断しております。このような前提に立って、このほど発表された住宅整備方針を読むとき、まず最も基本的な懸念は、さきにも述べた財政の先行きと、住宅供給の関連であります。あり余る財源があって、さまざまな行政施策を展開するというのであれば、工夫も知恵も、決断も必要ないでありましょう。それは少なくとも、政治と呼ぶにふさわしいものではありません。限りある財源、数ある選択肢から、当面なすべきことを選択するのが政治の役割であるならば、まさに財政の先行きが不透明なときであるときこそ、政治は本来の使命を達成すべきときであるはずであります。  住宅政策について言えば、整備方針、つまり供給計画、供給目標が明示され、その一方で財政に陰りが出てきた今こそ、政治、そして我々議会と行政の姿勢が問われていると言ってよいでありましょう。我々がここで確認したいことは、今申し上げた文脈の上で、整備方針の具体化に対し、つまり供給計画、供給目標の達成について、区はどのような姿勢で臨もうとされているのかという点であります。  繰り返しますが、財政が苦しいからといって整備方針達成のアプローチが弱体化するようでは、区の行政姿勢の根幹が問われることになるでありましょう。バブルが崩壊した今、区長並びに執行部は、住宅供給の継続性と、量並びに質の確保、住宅整備方針の達成についてどのような決意で取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。  住宅関連の次は、いわゆる環境共生型住宅についてであります。  かねてより区は、都営深沢住宅の区移管を働きかけており、そこに環境共生型住宅の建設を計画しておりました。このほど移管の先行きに一定のめどが立ち、事業の進展が期待できるわけでありますが、この環境共生型住宅について、環境への配慮はもちろん重要であるとの強い認識は持っておりますが、それとともに、住宅の量と質の確保も極めて重要であると言いたいのであります。中心はあくまでも住宅供給であり、その後のバリエーションの一つとして、環境への配慮があるというのが本来的認識であるべきであります。  区移管までの担当部局のご努力に敬意を表しつつ、それだけに、この深沢住宅の建てかえについては、あくまでも住宅の量と質の確保をメーンにし、その範囲でできる限りの環境への配慮を施すべきであると考えておりますが、深沢住宅の建てかえの具体的な整備方針、あるいは基本計画などの内容について、区の見解をお伺いしたいと思います。  続いて、ごみ減量、リサイクルの推進についてお伺いします。  世田谷区において、既に二地区、一万二千五百世帯のモデル地区を設定し、資源回収事業を展開しているところでありますが、我々が従来より主張しているとおり、この事業はいずれ近い将来、全区的に展開しなくてはならない事業であります。そうしたリサイクル事業の全区的展開を展望した場合、まず第一に、ごみ収集事業の都から区への移管問題、そしてリサイクル事業の支援体制の整備、あるいは協力業者の育成、支援、また事業の第二段階としてモデル地区の拡大等が考えられます。  ごみ減量、リサイクル事業は、必然的にごみ収集体制と密接不可分の関係にあります。したがって、ごみ収集事業のあり方は、リサイクル事業に決定的な影響を与えると言っても決して過言ではありません。とりわけ、ごみ収集事業を都が管轄するのか、あるいは区が管轄するのかという問題は、リサイクル事業の先行きを展望する上で極めて重要なポイントになるでありましょう。  そこでお尋ねしたいのは、特別区改革と関連し、ごみの収集事業の移管問題の展望と、また区移管をにらんでのリサイクル体制の整備について、どのような見解をお持ちであるか。我々は、当然準備を積極的に進めるべきであると考えておりますが、いかがお考えか、お答えいただきたいと思います。  関連して次の質問は、ごみ収集事業の区移管が実現して、いずれ資源回収事業が全区的に展開される場合、その準備を早急に進めるべきであり、しかもその準備を整えるという意味では、モデル地区の拡大が最も有効であると我々は考えておりますが、区のお考えはいかがか。  従来、区はいわゆる集団回収方式でリサイクルの推進を図ってまいりましたが、その限界性を認め、このモデル地区の設置については、近い将来の日常的な制度化を射程に入れたものであると我々は理解しております。こうした理解に基づくならば、区内全域での資源回収事業にアプローチするには、現実的なモデル地区の拡大を順次、迅速に図っていくことが重要になると言えます。ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。  また、このモデル地区を設置した意味合いの一つは、事業を実際に行って具体的な問題点の摘出、点検を行うことにあると判断しています。そこで、モデル地区における経験から、どのような問題点が検出されたのか、お答えいただきたい。  我々が懸念する点は、住民の協力体制と回収業者についてであります。住民への協力の呼びかけに関しては、リサイクル推進課が中心的役割を果たすのは当然として、地域に密着した総合支所の果たすべき役割も見逃すわけにはいきません。モデル地区の拡大に総合支所がどのようにかかわることができるか検討すべきであります。  次に、協力業者の問題ですが、回収資源の単価が経済情勢に左右され、極めて不安定な状態にあります。自由主義経済体制の日本において、経済合理性を無視した営業活動を業者に強制することはできません。したがって、そこには何らかの形の回収業者の支援、育成策が不可欠であります。また、回収業者の協力を誘導するには、いわゆる中間処理施設、あるいは資源化施設の確保が必要になります。都清掃工場敷地などの有効利用、さらには清掃工場建てかえの際の施設併設など、強力に推進すべきであります。これらの点について、区のお考えをお聞かせください。  この問題の最後に、一つ具体的な提案を行いたいと思います。現在、区内で二つの保育園と二つの学校に生ごみ処理機を設置して、教育効果も考慮した施策を実施しておりますが、大変に効果があり、評価も高いようであります。この際、意識の啓発、子供たち並びにその親たちの参加意識を高揚させるために、全保育園、学校に設置すべきであると申し上げたいのですが、見解はいかがか。  最後に、訪問看護、マンパワーの確保についてお伺いします。  昨年成立した老人保健法改正で、老人保健制度に新たな指定老人訪問看護事業が創設され、本年四月から施行されております。平成四年七月現在で三十六カ所の老人訪問看護ステーションが指定を受け、事業を開始しております。ほかに指定申請が二十七件、指定申請準備が九十七件に上っているそうであります。  高齢化社会の到来に伴って、在宅介護は福祉の主要なテーマとされ、国においても新たな制度の発足に踏み切ったわけでありますが、問題はまだ幾つか存在します。  まず世田谷区においては、既に訪問看護リハビリ事業が昭和五十四年から実施されており、昭和五十八年からは対象枠の拡大が図られ、四十歳以上の人たちにまでサービスが提供されています。この事業は補助金対応となっており、国、都、区がそれぞれ三分の一を負担し、本人負担はありませんでした。しかし、今回の新制度で訪問看護を受けると、一回につき基本料金で二百五十円支払わなければならず、しかも、対象者は六十五歳以上に限定されています。有料になり、しかも四十歳から六十四歳までは対象から外されるわけになりますが、有料化に伴う対応、また対象外となった人々に対する対策について、区はどのように考えているか、お聞かせください。  これまで行われてきた訪問看護リハビリ事業の実績を見ますと、平成三年で、訪問看護は訪問実人員五百五十五人で、訪問回数七千五百五十四件、新規対象者二百六十二人、一方、訪問リハビリ事業は訪問実人員百九十八人、訪問回数千百二件、新規対象者九十七人となっています。この数は今後増加する一方でありましょう。これに対する職員体制は、非常勤看護婦五十九名、非常勤理学療法士十五名、非常勤作業療法士二名、非常勤言語療法士一人、常勤保健婦三人、常勤歯科医一人、事務員一人の計八十二人になっております。この体制を今後はどのように持っていかれるおつもりか。この点も見解をお示し願いたいところであります。  これらの人々、とりわけ非常勤看護婦の方々には何点か悩みがあるそうです。それは、非常勤ではパート労働と同じで、身分保障が不安定であること。収入と課税との関係が複雑で、思う存分働き切れないことであるそうであります。税の問題は国に解決をゆだねるほかありませんが、非常勤マンパワーの確保という観点からは、区の独自の政策の新たな展開を考えてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  看護婦を含め、福祉マンパワーの確保は極めて重要であります。国の高齢者保健福祉推進十か年計画にしても、その達成を左右するポイントはマンパワーの確保ができるか否かにかかっております。そこで区の対策として、家賃補助等における住宅政策の拡大、安定した生活を保障するための待遇改善措置、極力常勤化を図るなどを検討するとともに、社会福祉法人等による世田谷看護・介護学校、あるいは福祉マンパワー養成所の設置、さらに都立松沢病院への同種施設の併設、国立大蔵病院の活用など、関係各機関に働きかけていただきたいのでありますが、見解はいかがでありましょうか。  以上何点かお伺いしましたが、区長並びに理事者の積極的な答弁を期待しまして、私の壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) ソフトパワーと行政のあり方について、まず、CI手法の具体化につきましてお答え申し上げたいと思います。  地域行政制度が発足して一年余りがたちまして、順調に推移いたしておりますが、地域行政の真価を発揮するのはこれからであると気を引き締めております。自治体におけるCIでは、施策や事業内容を考えていく上で、いかに区民の心をとらえ、共感を得るかが問われます。そのためには、前例踏襲主義や法令主義の弊害によるお役所仕事の風潮を刷新し、新しい発想により行政サービスの充実や、まちづくりのパワーアップを図るというソフト開発が必要となってまいります。昨年は地域行政制度をスタートさせ、従来の本庁中心主義の縦割り行政を改めまして、地域に密着した行政の仕組みを整えることそのものが、CI手法の具体化であったと認識いたしております。  発足後は「打てば響くまちづくり」をキャッチフレーズに、地域を中心としたイベントやキャンペーン、あるいは町におけるデザインの統一や地域広報のあり方の検討など、さまざまな取り組みが、本庁との連携のもとに鋭意行われております。しかし、真のCIの効果は、まさにこうした取り組みを通じて区民の生活を肌身に感じられる職員が育ちつつあること。また、今までの一元的対応から、区民の多様なニーズに多元的にこたえる行政サービスの改善提案が期待できるようになった点にあると評価しております。  今後はこうした地域からの発想を重視することにより、区民意識や行動を敏感に感じ取れる職員の全庁的な育成を進めるとともに、行政サービスの改善につきましても、これまでの地域の経験を踏まえ、総合支所の意見を取り入れながら、平成七年度からの基本計画に反映させるなど、新たなサービスの展開を図ってまいりたいと、このように考えております。  もう一つは、住宅対策について、整備方針の達成は、どのようになっているかというようなことであります。  ご案内のとおり、住宅整備方針は、基本構想の趣旨や住宅条例を踏まえまして、住宅とまちづくりをめぐる諸課題に対応するため策定したものでございまして、住宅整備の指針となるものでございます。ご指摘のように、バブルが崩壊した今日、平成五年度以降の税収は大幅に減少することが予想され、限りある財源の中で、いかにして住宅対策を推進していくかが大きな課題となっております。したがいまして、事業の執行に当たりましては、国や都の補助金を有効に活用するとともに、新たな制度の創設、例えば財政調整制度への算入などを要望いたしまして、財源の確保に努めつつ、安定した事業執行が図れるようにしていきたいと考えております。  住宅整備方針の具体化につきましては、都営住宅の移管や区有地の有効活用などにより、住宅の供給、民間の土地所有者の協力を得て行う「せたがやの家システム」による住宅供給などの推進を図ってまいりたいと思います。また、住宅金融公庫などの公的な資金の有効活用や、集合住宅等建設指導要綱の改正などによりまして、良質な民間賃貸住宅の建設も誘導していきたいと考えております。今後は、これらの施策をバランスよく実施することにより、住宅整備方針の着実な達成に向けまして最大限の努力をしていく決意でございますので、ご理解賜りたいと思います。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) 私からは、ソフトパワーと行政のあり方、この中で三点ほど、またリサイクルの推進、福祉マンパワーの確保についてお答えをいたします。  公共施設整備指針の策定と基本的な考え方につきましてお答えいたします。公共施設整備指針でございますが、人口の構成の変化、あるいは余暇時間の増大、生活様式の変化など、中長期的な展望のもとに、基本的にはすべての公共施設を対象にした見直しを行いまして、次の基本計画につながる前段の作業として位置づけ、現在取り組みを進めているところでございます。その中では、公共施設に求められる機能や、今後整備を要する施設、あるいはサービス提供の方向性など、将来を見通した新たなあり方を明らかにするとともに、限られた社会的資源を有効に活用する視点もあわせまして、総合的な対応を図ることとしております。  具体的には、公共施設の配置基準、整備計画や複合化のあり方などとともに、利用時間の拡大等、管理運営のあり方についても幅広く検討することとしており、ご指摘の点も踏まえまして、可能な限りの方策を具体化していきたいと考えております。  次に、第三セクターの問題についてご質問がございましたので、お答えいたします。  世田谷区は行政の枠を超えた公共的領域にかかわる住民ニーズの増大にこたえるために、昭和五十一年、財団法人世田谷区保健センターの設立を初め、多くの外郭団体を設立いたしまして、住民サービスの向上に努めてまいりました。しかし、設立から十年以上も経過している団体もございますし、さらに十を超える団体数にもなってまいりました。これら第三セクターにつきましては、改めて区との役割分担や将来を見通した育成の方向、関連する組織のあり方などが課題となっておりまして、第三セクターの活性化方針を策定することとしております。検討の体制といたしましては、学識経験者、該当団体関係者等から成る第三セクター活性化懇談会を設置いたしまして、平成五年度を目途に検討を現在進めているところでございます。  また、第三セクターにつきましては、基本的には評議員会への議会の皆さんのご参加を願って、適正な経営に努めさせていただいておりますが、中には発足の経緯や団体の性格等から、異なる形をとらせていただいているものもございます。ご提案のございました評議員会でございますが、区といたしましては、まず当面、第三セクター活性化方針の策定を重点に取り組みを進めたいと考えております。その成果をもとに、改めて幅広いご論議をいただきたい、このように考えております。  次に、総合支所長の裁量権の拡大の問題がございましたので、お答えいたします。  総合支所が地域ニーズに的確に対応するために、地域行政制度発足の際、例えば請負、委託による契約を伴う事業実施の決定の上限につきまして、各部の長が現在四千万円未満のところを、総合支所長には六千万円未満にするなど、事務事業を行う事案決定権限や人事権等について強化してきたところでございます。さらに本年四月には、世田谷区の事案決定手続規程等の改正によりまして、六千万円未満の決定額が一億二千万円に引き上げられたところでございます。  ご指摘のとおり、総合支所長が強力なリーダーシップを発揮できるためにも、現行の制度を見直しながら、地域行政の推進に向けて裁量権の拡大に努めていきたいと、このように考えております。  次に、リサイクルの推進の中で、制度改革の展望とリサイクル対策の整備ということについてお答えいたします。  清掃移管を含めた特別区制度の改革につきましては、ご案内のとおり平成二年九月の地方制度調査会の答申以降、その実現に向けて事務レベルでの協議を重ねてまいりました。しかしながら、この答申から既に二年の歳月が経過しようとしておりますが、現段階では、いまだ改革実現の見通しが立っておりません。  このため、世田谷区を初めとする二十三区といたしましては、ここ一、二年が改革実現の最後のチャンスととらえまして、国会及び都議会等関係方面へ働きかけを強化するとともに、二十三区共同大会など、区民、議員、行政が一体となった運動を幅広く展開することとしております。とりわけ世田谷区にありましては、世田谷“市”実現をめざす区民の会が、世田谷独自の大会を企画するなど、制度改革の速やかな実現に向け、全力を挙げた取り組みを進めているところでございます。  いずれにいたしましても、今回の制度改革はご指摘にもありましたように、リサイクルのあり方とも密接に関係いたしますので、こうした視点から他区に先駆け、リサイクル推進の専管組織を設けまして、地域に根差した区民の活動を幅広く支援しながら、ごみの減量化を図っております。今後とも事務事業移管をにらみながら、区民のリサイクル活動がさらに活発化するよう、体制の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、福祉マンパワーの確保、いわゆる訪問看護制度の推進とマンパワーの確保でございますが、お答えいたします。  今後の福祉保健サービスを展開するに当たりまして、実際にサービスを提供する人材の確保は極めて重要な課題の一つと認識をしております。区といたしましても、このような状況を踏まえまして、平成三年度より福祉施設に働く職員に対する住みかえ家賃の助成事業を開始し、本年からは事業の拡大を行ってまいりました。本年四月からは、区内の福祉施設、医療施設に従事しようとする方に対して、奨学資金及び就業準備金の貸し付け制度を設け、介護業務や看護業務に携わる方の就業促進を図ってまいりました。また、世田谷ふれあい公社におきましても、介護マンパワーの養成に積極的に取り組んでいるところでございます。  しかし、今後のマンパワーの需要を考えた場合、さらに体系的な事業の展開が必要であると考えております。このため、本年七月に関係領域部門による福祉施策の推進に関する検討委員会を設置いたしました。今後はマンパワーの現状や将来的な需要の把握に努め、ご指摘の点を踏まえながら、確保等の調査研究を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔助役川瀬益雄君登壇〕 ◎助役(川瀬益雄 君) 国の環境共生型住宅建設推進事業の導入についてお答えを申し上げます。  都営深沢住宅の区への移管につきましては、都区協議を重ねておりましたが、先般、都との間に一定のめどがつきましたので、平成五年の後半の移管をめどに、現在準備を進めているところでございます。  この住宅の建てかえにつきましては、建設省の環境共生住宅建設推進事業のモデル団地としての適用を受けまして、住宅の確保と地球環境の保全や周辺環境とが一体となりまして、区の住宅条例が示す総合的な環境水準の水準をつくり出していくということができるように努力してまいりたいと考えております。  したがいまして、今年度は資源の有効活用を図るためのリサイクルシステムの導入、雨水の再利用、周辺環境とマッチした都市デザインの導入、さらには高齢者や障害者に配慮した住宅づくりなどを内容とした、基本計画の策定に取り組んでまいります。  なお、この深沢住宅の建てかえに際しましては、ご指摘とおり、当区における昨今の住宅事情を認識いたしまして、住宅の戸数増の確保を優先し、あわせて住宅及び住環境の質的向上を図るよう努力してまいりたいと考えております。    〔教育長小野原進君登壇〕 ◎教育長(小野原進 君) リサイクルに関連いたしまして、学校と生ごみ処理機についてお答えいたします。  教育委員会では、環境問題並びにリサイクル事業推進のため、生ごみ処理機を学校に設置することといたしました。現在、小学校二校に設置いたしておりまして、校内のごみの減量を図る、有機肥料を学校の花壇等に利用する。さらに環境リサイクル学習の教材として教育に生かすなどのねらいで試行いたしております。  福祉部におきます保育園におきましても、生ごみ処理機を設置することといたしておりますが、学校におきましても順次導入してまいりたいと思います。 ◎地域調整室長(鎌田一郎 君) 地域行政推進に当たりまして、イギリスあるいはスウェーデンの例にあるように、住民評議会のような組織が必要ではないかというご質問でございます。  地域行政制度は、地域性、効率性、総合性の視点から、いかに住民の生の声を区政に反映させるかが課題でございます。住民評議会は、それぞれの国の歴史的な過程により、住民の意思をどのように施策に反映させるかの仕組みが異なると思います。世田谷区におきましては、本年度から進めております地域計画原案の作成に伴う地域会議、あるいは地区カルテによります地区会議などを設けまして、住民みずからが町を見直し、まちづくりのための意見を施策に反映させるかなどの仕組みを考えております。  また個別的には、例えば烏山総合支所におきましては、烏山駅周辺放置自転車対策協議会を設けまして、地元の住民の方々のご意見、あるいは鉄道、警察等を巻き込んだ組織が一体となりまして、放置自転車の対策を行うなど、それぞれの地域の特性に応じた、きめの細かい施策実現に努めております。  もう一つ、総合支所内に高齢者問題を一括して行うようなシステム、例えば老人福祉手当、あるいは高齢者住宅、そういうものができないかというお尋ねでございます。高齢者福祉につきましては、身近な地域で総合的にサービスが提供できるシステムについて、これまでにも高齢者福祉を含む三十九の事業を福祉事務所に事務移管してまいりました経緯がございます。  また、昨年四月からはシルバーパス交付事務なども身近な出張所で行えるようにしたところでございます。さらに在宅ケアを支援するために、保健、福祉の連携による総合支所の組織を生かして、サービスの向上に努めているところでございます。  今後とも、本格的な高齢化社会に向けた体制づくりのために、条件を整備しながら福祉サービスの展開が図られるよう検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎生活環境部長(市川一明 君) リサイクルに関するモデル地区の拡大とその問題点及び回収業者の育成支援策と資源化施設についてお答えいたします。  モデル地区の拡大につきましては、清掃事業の受け入れ態勢を整備する観点からも、その必要性があることはご指摘のとおりであります。拡大に当たりましては、モデル地区での調査結果をもとに、問題点や課題を抽出し、それを踏まえまして、全地域に拡大できるかどうか検討する必要があります。  現在、二つの地区で品目別の回収量調査、リサイクル協力員や住民アンケート調査、ごみの組成調査、業者懇談会を実施し、その結果を分析評価しているところであります。主な問題点といたしましては、回収業者やリサイクル協力員の確保、中間処理施設の整備などが上がっております。これらの問題点や課題を検討し、今年度中に地区拡大の具体的な計画をつくっていきたいと考えております。地区拡大に当たりましては、総合支所との連携や役割分担等、庁内体制とのあり方もあわせて検討いたしまして、実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、回収業者の育成支援策でございますが、市場価格は引き続き下落傾向にあり、資源回収業界は厳しい状況が続いております。回収業者の育成につきましては、リサイクル事業の都区の役割分担により、東京都が責任を持って実施することになっております。しかし区といたしましても、モデル地区の回収事業を通じまして業者を支援していくとともに、回収団体への業者情報の提供、業者連絡会の開催などを行い、区内業者間及び区事業との連携促進を図っております。  ストックヤードなどの資源化施設につきましては、現在実施しているモデル実験の基礎データをもとに、処理能力や車の排出入台数、防音、防臭対策などの観点から十分調査分析し、拡大に必要な施設の数や規模、立地条件などを検討していきたいと考えております。  また、清掃工場の用地の利用につきましては、既にその利用を申し出ておりますが、今後、都との連携協力が図れますよう努力してまいります。 ◎衛生部長(工村房二 君) 訪問看護制度の推進とマンパワーの確保についてお答えいたします。  まず最初に、訪問看護リハビリ事業の有料化に伴う対応、また対象外となった人々に対する対策についてお答えいたします。  訪問看護は、ホームヘルプ機能とともに、在宅ケア体制の中心となるものであり、増大する在宅療養者の切実なニーズになっており、国もまた在宅福祉対策の最重要課題として、訪問看護の緊急整備を進めています。  区では、老人保健法に基づいた訪問看護事業として、これまで積極的に看護、リハビリの提供に取り組んでまいりました。しかし、後期高齢者の増大と介護ケースの増加により、現行の体制ではふえ続けるニーズに十分な対応が困難な状況になっており、新たな体制の整備が必要となっております。このため、区は訪問看護事業の充実発展に向け、新たな体制を整備すべく現在検討を進めているところであります。整備に当たっては、現行の事業実績を重視し、区民サービスを低下させることのないよう配慮する。本年四月、老人保健制度として国により創設された老人訪問看護制度を導入し、訪問看護事業の基盤の確保を図っていこうと考えています。  ご指摘のとおり、この老人訪問看護制度の対象は六十五歳以上の老人医療受給者に限定されており、現在区が六十五歳以上とあわせて訪問看護を実施している、四十歳から六十五歳未満の方々は対象となっておりません。しかしながら、働き盛りのこの年代の方々が在宅で寝たきり等の状態になった場合には、家庭や社会に与える影響は大きく、訪問看護の必要性は大変高いものであります。したがって、区の訪問看護事業の基本的方向性として、現行の事業どおり、四十歳から六十四歳をも対象としていく必要があろうかと考えています。  また、国の訪問看護制度を導入すると、基本利用料として一回二百五十円負担することになっていますが、所得において適正な負担は、訪問看護事業の充実のためにはやむを得ないものではないかと考えております。しかし、低所得者の費用負担については、さまざま議論もありますので、区民の共通の認識と理解を得られるよう、今後さらに検討してまいります。  次に、職員体制を今後どのように考えるかということに対してお答えいたします。  職員体制につきましては、現在そのほとんどが非常勤職員に頼っております。この体制は、家庭の事情で就業していない看護婦や理学療法士の方々が就労しやすい雇用体系となっております。この雇用体系は、マンパワーの有効活用という観点からメリットの大きなものであり、今後も非常勤職員の積極的な活用を継続してまいる所存であります。しかしながら、訪問看護事業は医療機関や福祉施設等、多くの関係機関とのきめ細かい調整や配慮が必要であり、それらの核となる常勤職員の確保が不可欠であります。今後、訪問看護事業の整備充実を進めていく中で、非常勤職員の確保とともに、常勤職員の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、非常勤看護婦などに対する区独自の確保対策はということですけれども、ご指摘のとおり、現在訪問看護事業に従事している訪問看護婦は非常勤職員であるため、身分保障や給与面で不安定となっており、特に訪問看護を志す若い方々にとっては、住宅問題等、大変な状況となっております。今後、訪問看護マンパワーの不足の解決に当たりましては、これらの方々により多く就労、定着していただくためにも、雇用形態や各種助成制度のあり方など、さまざまな視点から総合的に検討していくことが必要であると考えております。  以上です。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で長谷川義樹君の質問は終わりました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、日本共産党を代表して、五十四番村田義則君。    〔五十四番村田義則君登壇〕 ◆五十四番(村田義則 君) 日本共産党世田谷区議団を代表して質問いたします。  参議院選挙に示された自衛隊の海外派兵をめぐる国論を二分する議論、佐川急便をめぐる金権汚職政治の解明、国民本位の不況対策、さらに天皇訪中問題など、今、国政にかかわる重大な問題が山積しています。国民は今、こうした問題について国会での徹底した議論と疑惑の解明を求めています。政府・自民党が国民の声に背を向け、国会の招集を先延ばしにすることは許されません。我が党は臨時国会の早期招集を強く要求するものであります。  さて、私の質問の第一は、東京都が条例案の提出を表明している拡声器規制条例の問題についてであります。
     この条例案は、右翼などの暴騒音の取り締まりが目的とされています。実際、区内では下北沢や世田谷信用金庫の事件など、右翼による区民生活を脅かす事件もたびたび起こっています。右翼のこのような行動を野放しにすることはできません。しかし、右翼のこうした行為は、いずれも現在の法律で取り締まることが可能であります。滋賀県の大津市の例でも見られるように、全国的には脅迫、営業妨害、軽犯罪法の静穏罪などを適用し、警察が取り締まっております。  東京都は、かつて都内の騒音の問題に対し、都近隣騒音問題懇談会を設置し、この問題を検討しています。懇談会では、拡声器の使用に規制を加えることは、人の表現行為を必要な限度を超えて制限することとなるおそれがあるとして、これを規制するに当たっては、正常な政治活動や労働運動などを制約することのないよう慎重を期すべきとの報告を行っています。  さて、条例案では、スピーカーなどから十メートル以上離れた地点から測定して、八十五デシベルを超える音を暴騒音と規定し、すべての都民を対象として規制しようとしています。八十五デシベルとは、区内では三軒茶屋など大きな交差点での日常的な騒音程度でありますが、右翼を取り締まるといいながら、実際はすべての都民を対象とするこの条例は、都民の言論、表現の自由に対する重大な問題を含んでいます。  また、この条例案は権力による人権侵害を規制した国の法律などとの関連でも大きな問題を含んでいます。取り締まりは警察が行うことになっていますが、条例では拡声器を没収したり、拡声器のある場所や関係する個人、団体への立ち入り、検査、質問ができることとなっています。これらは、人権、結社の自由などを保障するために設けられた個人の黙秘権や、警察が行う捜査における令状主義などからも逸脱しています。  さて、こうした危険な条例に対し、多くの都民や労働組合、市民団体、宗教団体などからも反対の声が上がっています。ある障害者団体は、ことしは国際障害者年の最終年、障害者の人権保障を求める運動を広く都民に訴えようとしているとして、拡声器規制条例はその手段と都民の知る権利を奪うものと反対の理由を述べています。  このような条例案に対し、憲法、法律との整合を欠く欠陥条例との法律家の指摘を初めとして、東京弁護士会からも、表現の自由に重大な制約を課すおそれがあるなど、多くの団体、個人から反対の声明文や意見が発せられています。都、区民の言論、表現、集会、結社の自由など、人権と民主主義に対する重大な問題を含む同条例案に対し、区長はどのような見方をされているのか、まず伺いたいと思います。  さて、政府は昨年七月来、五次にわたる公定歩合の引き下げを不況対策として行ってきました。また、この八月には、さらに十兆円規模の総合経済対策を発表しましたが、今日、区政にとっての重要課題はこの不況下での区民の暮らし、中小業者の営業を守ることであり、区政の真価が問われる問題と思っております。  そこで、私は質問の第二に、この点について伺います。  私は、三年前まである大学で経済学の教鞭をとっておられ、今は退職した方の話をまずご紹介をしてみたいと思います。その方は奥さんと二人暮らしで、現在の収入は二人の年金合わせて二十五万円、それに退職金の一部を預金して、その利子を生活費に充てています。三年前、退職金のうち千六百万円を定期預金として、当時は月当たり十万八千円の利子収入が得られていました。これを年金収入に加えて生活費としていたそうであります。当時の銀行利子は六%から七%でした。ところが、昨年来の相次ぐ公定歩合の引き下げで、現在は利子が三%台にと下がりました。利子による収入は、今では当時の半分、六万円に満たない額となってしまいました。  その方は言います。今は生活費を切り詰めてしのいでいます。先月は二紙とっていた新聞も一紙にしました。政府は不況対策と言いますが、とんでもない高齢者いじめです。相次ぐ公定歩合の引き下げによる預貯金金利の下落によって、国民は年間で十数兆円もの利子収入の減少を押しつけられたことになります。ちなみに、消費税の税収が年間で六兆円と言われていますから、その二倍以上もの金額がこの一年間で国民から吸い取られたことになります。不況対策に名をかりた政府の公定歩合引き下げは、庶民にとってのとらの子の預貯金、高齢者にとっては生活の糧とも言える預貯金金利の利子を奪い取る冷たい仕打ちであります。  また、総合経済対策はどうでしょうか。不良担保不動産の買い取り機関設置などに対して、大銀行、大企業の株と土地をめぐるバブル投機のツケを国民に押しつけるものとの声は、識者のみならず、一般マスコミや海外からも上がっています。カナダのある新聞は、日本政府のこの対策を、財界向けの国家による損失補てんと言って批判をしております。総合経済対策に対して、努力を評価する(平岩経団連会長)、おおむね満足できる(永野日経連会長)など、財界代表がこぞって歓迎の意を表明しているのも当然でしょう。  一方で、国民、区民の暮らしや営業はどうなっているでしょうか。中小業者は仕事がなく、商店は売り上げ不振が深刻です。一カ月の売り上げが二万円ほど、ほとんど仕事がなく、二十年勤めてくれた従業員が、私、よその職場に行きますと言ってくれたときには内心ほっとしたと、ある機械工場のご主人が私に語ってくれましたが、製造業や機械加工などの工場の営業はとりわけ深刻です。区の資料によっても、区内の製造業、卸売業などを中心に倒産が激増しています。区の資料にあらわれない個人事業者の廃業などに至っては、さらに深刻です。また、日本百貨店協会のまとめによっても、百貨店の売上高も五カ月連続前年を下回るなど、不況が国民生活全体に及んでいることを示しています。  今必要な対策は、国民の暮らしと営業を最優先した不況対策であります。日本共産党は、一、低利融資など中小企業の経営を守る緊急措置、二、一兆五千億円の減税など、国民の購買力を向上させる内需拡大策、三、住宅、福祉施策など生活密着型公共投資の拡大など、国民本位の実効ある不況対策をと提言しています。  さて、区政においても、区民の暮らしと営業の実態を正確にとらえ、区民生活擁護に心を砕く区政運営が求められるところであります。日本共産党区議団では、既に中小業者に対する不況対策として、緊急融資制度の創設、生業資金の増額補正などの対策を区に申し入れ、区としても積極的対応が始まりました。今後さらに、財政運営に当たっては、区民生活に密着した施策、事業展開を重点的に進める、給食費などの区民生活に影響を及ぼす公共料金の値上げは見送る、国民健康保険の減免措置や教育扶助など、区民生活擁護のための制度の活用やPRを図るなど、各部からの知恵も出し、区民生活擁護のために努力されることを強く要望いたします。  区長に伺います。区民生活の動向を区長はどのように見ておられるのか。また区民生活擁護に向けて、各部にわたる区としての総合的な対応を講じていただきたい。考えをお示しいただきたいと思います。  この問題での二つ目の質問は、区の計画している緊急融資対策についてであります。  このたびの緊急融資制度実施との区の決断に、区民生活に根差した区の姿勢を感じることができました。ちなみに、東京都や他区でも同種の緊急融資を行っているところがありますが、どこも申し込み者が殺到しているとのことです。東京都では、予定した融資額の二十二倍もの融資申し込みがあり、補正予算まで組むことになっています。  さて、日本の勤労者の七〇%は中小企業、個人事業の従事者であります。中小企業の繁栄なくして、国民的な不況克服はあり得ないと言っていいと思います。区の緊急融資制度ですが、大事な点は、この融資は直接的には中小企業向けということですが、しかし、その実は、区民全体に向けての区の不況対策の重要な柱の一つだという点であります。ですから、融資の条件などについても、細かい条件を設けて借りにくくすることのないように配慮していただきたいということであります。条件等については既に議会に報告がありましたが、例えば返済までの据え置き期間を、さらに一年に延長するなど検討していただければと思うものであります。金融機関との調整など、ご苦労も多いかと思いますが、区内の中小業者の皆さんに積極的に活用してもらえる緊急融資制度となるよう期待をしております。所見を伺います。  質問の第三は、高齢者福祉の充実についてであります。  まず、区の老人保健福祉計画の作成について伺います。  厚生省は、高齢者保健福祉十か年戦略、ゴールドプランの中で、全国の市区町村で一九九三年度までに、老人保健福祉計画を策定するよう義務づけました。この計画では、各自治体が高齢者の実態調査に基づきながら、サービス供給量と施設整備、マンパワーの確保策などの目標を明確化するよう指示しています。  私どもは、この計画づくりを極めて重視をしています。それは、この計画が数値で目標を決めるなど、十年後の世田谷区の高齢者福祉の到達を左右するものになるからであります。同時に、積極的な意味では、現在までの区の高齢者施策に対して、区民ぐるみの総点検を行い、住民要求に基づく、より積極的な区の保健福祉計画を練り上げる契機ともできるものだからであります。区では現在、計画づくりに向けての方針の検討を行っているところと伺っています。そこで、計画づくりについて、私どもから幾つかの点を強調させていただきたいと思います。  第一は、計画づくりに住民参加を貫き、区としての自主性を持って当たるということであります。実は、老人保健福祉計画作成に当たっての厚生省からの通知というのがあります。これには、計画の主要部分の原案については都道府県の意見を聞くとか、方針策定から計画決定に至るまで都道府県と十分調整する。さらには、計画決定に当たっては市町村議会の議を経ることは要しないなど、わざわざさまざまな指示を行い、上意下達の姿勢を露骨に示しています。区民のための福祉計画であります。区民参加を貫き、議会の意見も聞き、区の自主性を発揮した計画づくりを進めていただきたいと思うものであります。  第二は、計画づくりの前提となる実態調査であります。区ではこの間もさまざまな調査を行い、施策に反映してきました。これらの調査についても再度検討し、区内高齢者の実態が手のひらに乗るように徹底していただきたいと思います。この点では、区職員による高齢者訪問面接調査の実施など検討していただきたいと思います。  第三は、厚生省から示されている計画骨子に拘束されないで、高齢者の実態から出発したさまざまな角度から、また十年後、あるいはその後に高齢者となる世代をも視野に入れた計画として、課題を検討していただきたいと思います。  幾つか中心点を絞って提言をさせていただきましたが、いずれにしても、私どもはこの老人保健福祉計画づくりを区民参加による区の高齢者福祉施策の総点検の場として位置づけ、全力を挙げていただくことを願うものであります。老人保健福祉計画づくりに当たっての区としてのお考えをお聞かせいただきたい。  次に、老人保健施設の建設について伺います。  老人保健施設は、またの名を中間施設とも呼ばれています。それは病院など医療機関と特別養護老人ホームなど、福祉施設の中間だというところからつけられたようです。一定の医療行為が行われることとなっています。厚生省は、この施設によって、病院から退院するお年寄りが、リハビリや生活訓練などを受けることによって、在宅での生活を可能にし、寝たきりをなくすためにも大きな役割を果たすとしています。ゴールドプランでは、全国で二十八万床分の施設を建設するとし、各市区町村のつくる老人保健福祉計画にも目標を定めることになっています。全国でこれまでに二万八千床が建設されていますが、東京ではまだ二つの施設しかありません。  先日、このうちの一つの施設を見学させていただきました。できてから二年余りになる施設ですが、特別養護老人ホームと比べて一人当たりの施設の面積も大きく、また家庭に戻ることを目標としている皆さんだからでしょうか、大変明るい雰囲気でした。実際、病院を退院してこの施設に入り、さらに家庭に戻られた方は、これまでの入所者のうち三〇%程度とのことでした。また、病院から中間施設に来て特別養護老人ホームへと行かれる方も少なくありません。全国的に見ると、特別養護老人ホームへの待機施設、待つための施設となっているようなところもあるようであります。  一方、長野県の佐久病院がつくっている施設では、病院から家庭への復帰施設であるとともに、復帰した高齢者のケアを在宅福祉部門と施設が協力して行っています。農業従事者が多い地域ですので、農繁期や厳冬期などには家庭から施設へと戻ってくる、そうしたスタイルも積極的に進めています。つまり、地域での在宅ケアを進める上での中心的施設ともなっているわけです。  全体として、この老人保健施設は、つくり手の考え、地域の特徴、他の福祉施設や在宅福祉の整備状況などによって、さまざまな役割を担っているということができます。厚生省が言うような、病院から老人保健施設、家庭へというバラ色の施設ではありませんが、老人が病院から追い出され、重い介護が家族に押しつけられているもとで、高齢者やその家族にとって頼れる施設となり得るものと考えます。  世田谷では既に発表されている地域医療計画の中で、建設に向け検討するとの方針を明らかにしています。全国的には、医療機関が建設しているケースの方が、より積極的な役割を果たしているようです。それは、利用する高齢者が医療行為を前提としており、とりわけ緊急の対応が必要とされる場合も多いからであります。世田谷では、患者さんへの訪問看護など、地域医療にも熱心な病院を中心に、例えば日産玉川病院などを考えてみてはいかがでしょうか。  東京の場合、土地の値段が高いなどで、国の補助のあり方などに問題があり、なかなか施設の建設が進んでいないのが現状です。行政の積極的な対応が求められています。老人保健施設について、この間どのような検討がなされているのか、建設の見通しなどについてお伺いをいたします。  質問の第四に、三軒茶屋の今後のまちづくりについてお伺いをいたします。  三軒茶屋再開発事業の第二工区が着工の運びとなりました。区が手がけて二十年余り、準備組合設立から十三年という日時を要しています。この間には日本の経済状況にも大きな波がありました。とりわけ、今再開発事業の具体的計画の根底をなしたとも言える東京一極集中と、それを支えたバブル経済の破綻は、今日、区民生活にも大きな影を落としています。三軒茶屋を東京の副々都心にとの都の構想は、今日ではまさにバブルとともに消えたと言える状況です。  六月十二日付の日本経済新聞は、バブル崩壊が再開発事業を直撃。全国で五十五事業がつまずくとの見出しを掲げ、日本橋兜町や北九州市小倉駅西地区など総事業費一千億円を超す事業も事実上中断。地域のまちづくりが見直されていると報じています。理由は、テナント選定、進出の滞り、採算見通しの変化などで、中にはキーテナントの撤退で、音楽ホールなど公共施設ができるところもあるそうです。用賀のビルや同じ三軒茶屋の民間のオフィスビルも、テナント不足で困っているとの話も広がっています。オフィスビル中心の第二工区の事業は、バブル経済の崩壊に大きく影響される事業です。大変な時期の起工式着工となりましたが、弱い立場の地権者の皆さんも命がけで頑張っています。区は事業完成への確実な担保をお持ちなのか、見通しをお伺いいたします。  さて、私どもは本再開発事業計画に対し、さまざまな問題を指摘してまいりました。この中で、住民運動とともに、区や再開発組合の努力もあり、再開発地区内の地元地権者や商店など弱い立場の住民への配慮、都市基盤整備への対策など、民間再開発ではできない課題への対応も行われています。しかし、土地の高度利用、オフィス誘致による地価の高騰、ここから発生する住環境の悪化や居住地の衰退、さらに地元商店の営業破壊や追い出しという大きな問題があります。交通問題や廃棄物問題なども深刻です。さらに、事業に対する住民合意が不十分な中での強行ということも大きな問題点でありました。  さて、いよいよ着工という時点に立って、改めて指摘したいことは、この事業による周辺住民や商店に対する問題点の解消のために一層の努力をしていただきたいということであります。再開発による周辺地価の上昇は、他の地域と比較して歴然としています。住み続けようとする周辺住民や商店は今後、上昇した固定資産税、相続税、家賃などに耐えていかねばなりません。住宅地へのビルの進出や、さまざまな交通公害なども予想されます。地元商店は、大型店や専門店の進出などに対して、新たな対応を迫られることになりますが、そんな力があるのでしょうか。三軒茶屋がいつまでも区民にとっての身近なまち、中心商店街であるために、地元で生ずるこうしたさまざまな問題に対して、区として積極的な対応を要望するものであります。  第一に、住み続けられるまちを守るために、周辺地域の住環境対策、住宅地確保のための対策に万全を期すということであります。区の行った三軒茶屋地区総合計画調査の中でも、この点について、具体的なまちづくりの方向が示されていないことから、住居地域としては不安定な状況に置かれているとの指摘が行われており、住宅地の確保策を早急に具体化することが必要と提言しています。また、近隣住宅とのプライバシーの問題や裏通りの交通問題解消などにも積極的対応が求められます。  第二に、地元商店活性化のための対策は独自に展開する必要があるということです。区では、三軒茶屋地区商業活性化調査を行いました。ここでも商業者のほとんどが零細業者であり、行政サイドとしても支援体制を講ずる必要があるとし、資金上の助成策などの確立を提言しています。  質問いたします。第一に、周辺の地域の住環境対策、住居地域確保の対策について。第二に、地元商店の活性化のための対策について、具体的施策の実施状況、見通しをお聞かせいただきたい。  この問題の最後に、再開発第四工区と言われる地区の問題について伺います。  先ほどの活性化調査の報告によりますと、再開発は第二工区に続き、第三、第四と続けるのが望ましいとの指摘を行っています。確かに第四工区の地元の商店の皆さんも、いつまでも今のままでよいとは思わないという点では共通の思いのようです。しかし、第二工区の経過や様子を見、同じようなオフィス中心の高層ビルで、しかも民間主導で自分たちの商売が成り立つのか、大きな不安を抱えていることも確かです。第二工区の見通しがついたら、今後は第四工区だなどと、区の計画を単純に地元に押しつけることはあってはならないことであります。今後の三軒茶屋地域のまちづくりを考える当たっては、第二工区の状況をよく見きわめるとともに、この事業の教訓をしっかり生かすことが大事なことではないでしょうか。  この点で、次のことを指摘しておきたいと思います。第一に、まちづくり計画は地元地権者、住民との十分な話し合いと合意を前提とし、第二に、大企業、オフィスの誘致は避け、地元商店が中心となる計画づくりを基本とし、第三、まちづくりの手法については、市街地再開発事業に固執せず、地権者、住民との話し合いで多様な手法を検討するなどに留意し、進められる必要があります。当然のことのようですが、しかし、現状はこうした点から外れた区側の対応が目につきます。この点は、私が再三議会でも指摘してまいりました。なお、区が考えている広域生活拠点としての三軒茶屋地区の構想は、見直しを含め、再検討する必要があると考えます。  質問いたします。いわゆる第四工区とされる地域の今後のまちづくりについて、どのように進めていかれるおつもりか、区の所見を伺います。  質問の最後は、駒沢公園の清掃工場建設の問題です。  駒沢公園への清掃工場建設計画に対する我が党の見解は既に明らかにしております。第一は、ごみは徹底した減量、リサイクルを進めるという方向への転換が必要であり、焼却に頼る都の計画は時代の流れに逆行するものである。第二は、区内で三カ所目となる清掃工場建設は、ごみは自区内処理でという都と二十三区との合意にも反する。第三に、住宅地域である周辺環境や道路状況からいっても、地域の実態に調和しない。以上の点から、東京都に対し、計画の再検討を求めるというものでありました。  さて、七月に行われたまちづくり懇談会の場で、住民から、この問題について区の考えを聞きたいとの質問が寄せられました。区側からは助役が答弁をいたしました。まだ東京都から詳細な計画が提出されておりませんとして、この是非を判断する材料に乏しいので、材料の提出を待って判断したいというのが答えでありました。一方、地元では清掃工場建設の事前調査が着々と行われており、地元の住民は一体どうなることかと、日々それを見ているわけです。区が細かい説明は聞いていないからと何も言わないうちに、実際、事態はどんどんと進行しています。  東京都は、既にこれこれの処理能力の清掃工場を駒沢公園につくりたいと発表しているわけですから、細かい問題ではなく、区としての考えを率直に明らかにすべきではないでしょうか。あるいは、東京都はこういう計画を発表したが、地元の住民としてはどうですかと、区として意見を聞きに行くなど行ってみてはどうでしょうか。こうした対応こそが、住民の立場に立った自治体としての責任ある態度ではないでしょうか。区長、いかがでしょうか、所見を伺います。  以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) お答えいたします。  初めに、都の拡声器規制条例提案についての考え方でありますが、近隣騒音問題の対応については、昭和五十年代から、都区の関係者による協議会を設置いたしまして検討を進めてまいりました。昭和六十二年当時、夜間深夜騒音として問題となった、いわゆるカラオケ騒音の規制については、都は公害防止条例の改正を行いまして、同年四月、その一部の事務が区に委任されました。その際、都から区長会に対し、協議を継続して、拡声器問題を含めて引き続き検討していきたいとの申し出がありましたが、区長会は、拡声器についてはいろいろ議論があるので、慎重に取り扱うよう要請した経過がございます。  お話のありました、拡声器による暴騒音の規制に関する条例案につきましては、警視庁が原案を作成し、九月の都議会に審議される予定だと伺っております。言論と表現の自由に関連することでもございますので、上程されたなら、慎重に審議されることを期待いたしております。  次に、不況下での区民生活擁護に向けての区政の課題につきまして、一つは、区民生活の動向をどのように見ているか。区民生活擁護に向け、区として総合的な対応を検討する、こういうことでございます。お答え申し上げます。  バブル経済の崩壊とともに、経済活動の各分野でさまざまな影響が生じておりまして、消費者の買い控えによる小売業界の停滞、住宅等不動産需要の減退、あるいは金融システムそのものへの不安感など、総じて経済環境は大きく減速傾向にあると見られております。こうした経済環境の変化は、区民の暮らしや地域の経済活動においても、ほぼ同様の傾向をもたらしているのではないかと思っております。  国ではこうした動向を踏まえまして、我が国経済全体の立場から総合的な経済対策を打ち出しておりますし、金融機関を中心に、不動産の流動化を図る具体策がさまざまに論議されているところであります。区は区民の暮らしを守る立場から、これまでも応急小口資金、婦人福祉資金、高額医療費などの貸し付けや、就学援助事業などのほか、中小企業向けの中小企業事業資金、経営近代化促進事業融資などのあっせん及び利子補給など、さまざまな領域で幅広い施策を実施しております。  例えば、応急小口資金貸し付けにつきましては、今年度は七月までで既に昨年度の総件数の約四五%の件数の実績となっております。特に生業資金貸し付けにつきましては、今年度に入り、申し込み件数が当初の予想を上回りましたので、このたびの補正予算で約二八%予算額を上乗せさせていただく案をご提案申し上げているところであります。こうした区で整備されている総合的な施策のそれぞれにつきましては、区民便利帳、区の広報、窓口でのご案内など、いろいろな手段でPRに努めているところでございますが、これらの制度が必要に応じ気軽に利用できるよう、改めてPRを徹底させるよう努めてまいりたい、このように考えております。  駒沢公園の清掃工場の建設に関してお話がございました。ご案内のとおり、清掃事業に関しましては、清掃工場を含めて東京都の事業であり、都が責任を持って対処する立場にあります。このため東京都では、ごみ量の増大に対応して、昨年十月、清掃工場建設計画を発表いたしまして、その旨、世田谷区にも理解と協力を求めてきたところであります。この問題に関しましては、この間、議会でもさまざまな角度から議論されているところでありますが、総じて議論のための材料、あるいは判断に要する情報に乏しいことなど、ご指摘をいただいております。  この間のご指摘も踏まえまして、区といたしましては、都に対しまして清掃工場に関する詳細な計画の提示、未処置区に対する優先的整備を進めるための方策、ごみ量の変化を受けて、今後都がどのように対応するか。あるいは住民や区に対する誠意ある説明を踏まえた手順、プロセスの提示などを要請してまいりましたが、いまだ具体的なものは示されておりません。現在、都では清掃工場建設と運動施設整備計画とに関しまして、清掃局と関係部局との間で引き続いて調整が進められている模様でございます。今後とも、都の詳細計画が示される中で、事業主体である東京都から説明機会を設けまして、改めて議会の皆様とも幅広くご相談申し上げていきたい、このように考えております。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) 私からは、高齢者福祉の充実について二点ほどございましたので、お答えいたします。  まず最初に、地域老人保健福祉計画の策定についてお答えいたします。  老人保健福祉計画は、来るべき高齢社会へ向けて、高齢者にかかわる保健サービスと福祉サービスに関する計画を一体的に策定するよう、都道府県を初め区市町村に義務づけられたものでございます。国では、この計画が法律に基づく重要な計画であるところから、策定の趣旨、留意点、内容等についての指針を示してきております。  世田谷区におきましては、これまで福祉保健領域の関連所管のみならず、企画部門も交えまして論議を進めてまいりました。さらにこのたび区の将来像を見据えた基本構想の見直しや、基本計画の改訂作業の進め方が明らかになってまいりましたので、基本計画改訂作業とも関連づけながら、計画策定の準備を進めております。計画の策定に当たりましては、これまで独自で実施してきました高齢者実態調査などの既存の調査結果を活用しながら、不十分な点につきましては新たな調査を追加するなど、高齢者のニーズ把握を十分行いながら、長期的な視点に立って進めてまいりたいと考えております。  次に、老人保健施設についてご質問がございましたので、お答えいたします。  区が毎年実施しております高齢者実態調査の結果報告によりますと、寝たきり高齢者など介護を必要とする高齢者は年々増加しており、今後も急速な増加が見込まれることから、福祉保健の連携など、要介護高齢者対策の確立を急いできたところでございます。こうした要介護高齢者の多くは、住みなれた地域で家族と一緒に暮らしたいという強い希望を持っているために、区はこれまでそうした期待にこたえることができるように、高齢者在宅福祉サービス整備計画を策定いたしまして、在宅生活に必要な各種サービスの整備目標を示すとともに、その実現に向け、着実に努力しているところでございます。  また、家庭で支え切れなくなった要介護高齢者の入所、支援の場として、特別養護老人ホームを整備するために、区内社会福祉法人の協力をいただきながら、区立につきましても現在二カ所、計画を早めて建設の準備を進めながら、福祉サービスと施設サービスの適切な連携を図ることを基本方針として、在宅福祉の充実に努めてまいりました。  平成三年度に策定いたしました世田谷区保健医療計画におきましては、老人保健施設について、設置の方向で検討するとなっておりますが、このことは、これまでのように在宅処遇か、あるいは特別養護老人ホームに代表されます施設処遇かといった二者択一の考えでは、要介護高齢者の多面的なニーズに対応することが厳しくなりつつある背景を踏まえたものでございます。また、病院での社会的入院や特別養護老人ホームの待機者の解消につながる可能性があること、また地域ケアの一翼を担うことが期待できることなどから、ご指摘の趣旨を踏まえながら、今後とも引き続き検討をしてまいりいと考えております。    〔助役川瀬益雄君登壇〕 ◎助役(川瀬益雄 君) 初めに、緊急融資制度の改善についてお答え申し上げます。  昨年の夏ごろからの景気の落ち込みによりまして、特に中小零細企業の多い本区の事業者にとりましては、受注の減少に伴う生産抑制、売り上げ不振など深刻な影響があらわれております。そこで区では、これらの事業者に対する支援策といたしまして、既に四月に融資あっせん制度を大幅に拡充いたしまして実施をいたしているところでございますが、今回さらに、景気対策の一環といたしまして補正予算の計上をさせていただき、融資利率の引き下げなど、緊急融資の実施を、この十月から二カ月間に限定して予定しております。この緊急融資は、社団法人東京都信用金庫協会に委託をいたしまして、三カ月ごとの区内の景況調査を実施しておりますが、その結果などから、特に経営状態の落ち込んでおります製造、卸、小売の三業種に対象を絞りまして支援を行おうとするものでございます。  次に、据え置き期間につきましては、対象者の経営状況や、景気回復の見通しを勘案いたしまして、少しでも負担を軽減するために、従来の三カ月から六カ月に延長いたしたいと考えております。今回の緊急融資のあっせんにつきましては、中小企業診断士による経営診断や取扱機関などと十分協議をするとともに、区民に利用しやすい融資制度となるようご指摘でございますが、区長からもただいまご答弁申し上げたとおり、生業資金の貸し付け制度や現行中の企業振興事業資金融資あっせん制度を活用いたしまして、融資の実績が上がるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。  次に、三軒茶屋の再開発に関連してご質問がございました。  初めに、三軒茶屋のまちづくりの基本の計画でございますが、ご案内のとおり、これは区が独自の立場から策定いたしました基本計画で、区の将来の都市構造といたしまして、区内の商業地域であります三軒茶屋、下北沢、二子玉川を広域的な生活の拠点として整備をし、世田谷の都市構造の核とすることといたしております。これを受けまして、三軒茶屋地区につきましては、地区特性を踏まえまして、全体構想としては、働く、遊ぶ、住む、三つの機能が調和して共存する複合機能を持つまちとして整備することといたしました。商業地区にあっては商業環境整備、市街地再開発、住宅地にありましては防災街づくり促進地区、地区計画、これらとあわせまして道路、緑道、広場を整備いたしまして、全体として回遊性を生み出す事業を同時並行的に行っていく。こういう方針に基づきまして、今日まで多様な手法を導入して、まちづくりを進めてまいりました。  中でも第二工区市街地再開発事業は、これらの総合的なまちづくりを積極的に推進する役割を持つものといたしまして、商業、業務機能の集積や魅力ある都市空間の創出、生活と文化にかかわる区民活動の核づくりを実現しようとするものでございます。この事業の推進の過程で、地区内では多様なまちづくりの機運が醸成されてきております。地元の動向を大切にして、所期の目的を達成するよう努力してまいります。  第二工区の事業完成の担保性はどうかというご質問がございました。三軒茶屋、太子堂四丁目地区の再開発事業につきましては、これまで昭和六十三年八月、都市計画決定、平成二年九月、組合設立認可を経まして、平成四年八月六日に、組合員全員同意のもとに権利変換計画の認可を東京都知事より受けました。着々と再開発事業の手続を進めてまいったわけでございます。ご案内のとおり、九月十二日に起工式を行っておりますが、事業の完成までの重要なポイントであります権利床以外の保留床処分につきましては、取得者も決定しておりまして、再開発組合の定款に定められており、支払い時期についても、事業の進捗状況に応じまして、納付時期が規定されております。事業が円滑に実施されものと判断しております。  また、再開発事業に関する補助金と公共施設管理者負担金などにつきましても、事業の進捗状況に応じまして、国、東京都の補助金、財政調整による措置など、必要な財源の確保に努め、事業が円滑に推進するよう、適切に対応してまいりいと考えております。  次に、商業地域の活性化でございますが、平成元年度に、居住者や来街者及び地元商店街を対象に調査をいたしました。これによりますと、現状のままでは三軒茶屋地区の商店街は食料品などの最寄り品中心の商店街となっておりまして、渋谷、用賀、二子玉川などの再開発が行われる中で衰退するおそれがある。今回の第二工区の再開発のビルというものは、より広域からの人々を集めることができるものとしておりまして、期待できるとしております。  そこで、商店街の活性化はもとより、商業者の自助努力が基本となりますが、区といたしましても、二年前に制定されました通産省、自治省も関連いたします特定商業集積整備法の適用等が受けられるかどうか、積極的に検討してまいるなど、商店街の活性化策を検討してまいりたいというふうに考えております。  今後とも三軒茶屋地区全体を考慮しながら、社会経済情勢の推移やまちづくりの動向に伴う商業環境の変化、さらに地元の意見を踏まえながら検討、推進してまいりたいと考えております。 ◎都市開発室長(谷田部兼光 君) 三軒茶屋の再開発周辺の住環境への配慮についてお答え申し上げます。  これまで区では、三軒茶屋、太子堂の再開発につきまして、再開発ビルの計画ですとか、周辺の公共施設の計画につきまして、周辺住民の方々を初め町会、町内会の方々と数次にわたりまして説明を行っておりまして、ご意見、ご希望等を伺ってまいりました。その中で、再開発ビルあるいは公共施設計画につきましていろいろ調整を図ってまいりまして、三軒茶屋地区にふさわしい快適な空間の確保について検討を進めてきたところでございます。今後につきましても、再開発組合を指導して、立派な環境になるように努力してまいりたいというふうに思います。  次に、住宅地域の確保の問題でございます。昨今の地価上昇や三軒茶屋の再開発による周辺環境の変化に伴いまして、周辺地域の方々の住まいに少なからぬ影響が出ようかというふうに思っております。その中で具体的に申し上げますと、防災街づくりからスタートいたしました太子堂二、三丁目につきまして最近地区計画を定めまして、災害に強いまちづくり、快適な居住環境の形成を目標に整備する方針でございます。  また、太子堂四丁目につきましては、昨年一月に勉強会が発足いたしました。ここに区からもまちづくり専門家を派遣して熱心に勉強会が進められておりますので、これに期待をしたいと思っております。今後都市開発室といたしましては、三軒茶屋を中心とした周辺の地元住民の方々を初めまして、世田谷総合支所等の関係機関と連携をとりながら、よりよい住環境を目指して、まちづくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから、第四工区のまちづくりでございます。三軒茶屋地区の第四工区、これは世田谷通りと国道二四六号線に挟まれた場所でございますけれども、周辺に与える影響力の大変大きい場所でございます。仲見世商店街ということで、古くからの商店でございますけれども、都市防災上あるいは高度利用の上からも、今後再開発が期待される地区であるというふうに考えております。この地区につきましては、平成二年二月に勉強会が設立されまして、事業化案の検討を行ってきております。今年度につきましては、再開発の考え方、進め方、それから商店街のあり方、地域の発展のあり方、こういったようなことをよくお話を伺いながら次の段階へ進めてまいりたいというふうに考えています。  いずれにいたしましても、再開発が絡む仕事につきましては、合意形成が不可欠でございますので、十分配慮してまいりたいと思います。この点につきまして、都市整備公社の機能を積極的に活用しまして、権利者の方々の理解が得られるよう努力してまいりたいというふうに思います。  以上でございます。 ◆五十四番(村田義則 君) 以上で終わります。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で村田義則君の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時五十九分休憩    ─────────────────     午後三時三十分開議 ○議長(小畑敏雄 君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 代表質問を続行いたします。  日本社会党を代表いたしまして、八番西村孝君。
       〔八番西村孝君登壇〕(拍手) ◆八番(西村孝 君) 私は、日本社会党世田谷区議団を代表し、質問通告に従い、財政運営の見通しについてほか何点かについて質問いたします。  去る七月の参議院議員選挙の際には、長年の懸案であった即日開票が行われましたが、深夜にわたる開票作業に携わりました関係者の皆さん、本当にご苦労さまでした。  さて、ここで選挙結果について触れておきたいと思います。確かに、今回の参議院議員選挙の結果を見ると、自民党は三年前と比べると議席をふやしました。だからといって、自民党が全面的に信任され、PKO法も国民からの支持を得たという自民党幹部の発言は、当を得ていないと思います。なぜなら、選挙後の世論調査でも、有権者は、自民党を支持するのは野党が頼りないからと言っており、自民党を積極的に支持するのは一〇%ぐらいとのことでした。得票から分析しても、約五〇%ぐらいの投票率の中で、自民党は比例区では三割、選挙区で四割の得票を得たにすぎず、全有権者からすれば、その二割前後の支持しかないと言えるでしょう。  PKO法にしても、自民党が勝ったから国民が賛成したという理解は明らかに間違いであると指摘せざるを得ません。それが証拠に、選挙後の世論調査でも国民の半数以上が反対しているという事実であります。PKO法のような国論を二分するような重要な問題に関しては、国民投票制度の導入を検討するなど、国民の意思を反映する手段を真剣に考える必要があると思います。  ところで、今回、参議院議員選挙の投票率は史上最低を記録いたしました。全国が五二・七二%、東京都では四六・五八%、世田谷区では四四・八二%、これはどのように解釈したらよいのでしょうか。このことは、生活の向上、都市化現象、個人主義の助長、国家・自治体意識の減退等、いわゆる無関心層の増加が原因と見ることができますが、今回は、これに政治家に対する不信であります。かつてのリクルートを初め、共和問題、そして佐川事件であります。こうした贈収賄や不明朗な政治献金などに対する国民の怒りの結果として、投票率の低下であったという点を深刻に受けとめる必要があろうと思います。  さすがに宮沢首相も投票率の低下が気になったらしく、このことについて自民党最高顧問会議の意見を聞かれたようであります。顧問の方々は、投票日を日曜日に限定せず、ウイークデーを選定し、企業に協力を依頼するべきだと言っておられました。したがって、政府としても投票日変更の検討に入られるのではないかと思いますが、この際、自治体としても積極的に投票日変更の働きかけを行った方がよいと考えますので、区長会としても国へ強く働きかけていくことを要望いたします。  それでは、具体的な質問に入りますが、まず最初に、財政運営の将来予測と今後の起債運用の見通しについて質問いたします。  昨今の新聞やテレビ報道等を見ておりますと、景気減速、景気低迷、景気不透明といった表現が多く、まさにバブル経済崩壊後の砂嵐が日本全土を縦横無尽に駆けめぐっている感があります。株価も一時は一万五千円を割り、総務庁が四月に行った家計調査でも、食料、衣服、旅行経費等の家計消費支出の伸びが鈍化し、我々国民生活の中にも不況感がひしひしと押し寄せているのであります。  こうした厳しい経済情勢を反映し、国の本年度の税収不足は、企業業績の落ち込みによる法人税収の大幅減に加え、金利低下で利子源泉所得税の伸び悩み等で、三兆円を上回る税収不足が予想されています。また、八月に出た来年度の予算概算要求を見ましても、さらに法人税を初めとする税収の不振が予想され、国債への依存度を増すとともに、経常経費を一〇%削減し、財源確保を図る中で、一般歳出を、今年度当初予算に比べ四・八%の伸びとし、苦しい台所事情にあって、内需に配慮した景気刺激型予算を考えているように見受けられます。  また、東京都では、平成五年から七年の中期計画をまとめるに当たって、法人二税を中心に税収が低迷しているため、歳入面では税収の年間伸び率を二・二%、起債額の伸びを平均七・二%としたほか、基金の一部四千四百億円の取り崩しなどを行ったとしても、一兆二千億円の財源不足が見込まれることから、この中期計画に盛り込む事業を含め、今後、事業の緊急性、優先度などを見直しするに至っていると聞き及んでおります。こうした厳しい財政状況はある程度予想していたとはいえ、バブル崩壊後の後遺症や景気の低迷は、その予想の範囲を超えて、当区の行財政運営に深刻な影を落とし、結果として住民生活にも何らかの影響を与えかねないと懸念しているのであります。  近年で言えば、昭和六十一年の円高不況による税収落ち込みの際、当区は、特別区債や都市計画交付金の獲得など、できる限りの財源確保の措置を講じ、区民サービス、福祉、教育の行政水準を落とさず、さらに新基本計画の改定に向け、積極的な行財政運営を行ったことを思い出します。しかし、当時と今では、社会経済情勢も異なり、バブル崩壊による大きなツケは、景気の先行き不透明感を強くしており、したがって、従来にも増す一層の創意工夫が今後の財政運営に求められてくるものと思われます。  そこで、まずお伺いしたいことは、今後の財政見通しと、平成七年度の基本計画の改定に向けての財政状況の将来予測をどのように考えているかということでありますが、区長のご所見をお聞かせください。  このように、今後の税収に期待することが難しい財政状況を乗り切る方策として、通常、基金の取り崩しと起債の積極的な活用で、その財源確保を図ることは、数ある財政手法の一つではないかと考えられます。特に特別区債については、大規模な施設建設や用地の取得に積極的に活用が図られる本年度当初予算で六十二億二千三百万円、そしてこの補正で十九億五千五百万円と、八十億円を超え、主要事業を進める上で貴重な財源になっているかに見受けられます。  最近では、国も総合経済対策の柱の一つとなる、地方単独公共事業の大幅な追加を自治体に促すため、その財源となる起債枠を大幅に拡大するなど、財源確保の方策として起債へ依存する傾向が強く打ち出されていますが、起債はあくまでも借金であります。したがって、長期的な財政計画の中で、当区の財政力を見定め、将来的な財政負担を勘案した上で起こす必要があろうかと考えます。  現在、当区では、粕谷の特別養護老人ホームの建設や、文化・生活情報センターの整備等、多くの事業を抱えている現状から考えると、今以上に特別区債の依存度は増すものと想定されます。そこで、今後、起債活用の見通しをどのように考えておられるか、区長のご見解をお伺いいたします。  また、土地開発公社の用地取得も、区にとっては基本的に借金であると思います。この公社分も含め、区の借金、正しくは特別区債現在高及び土地開発公社等の借入残額について、現状と、今後どのように考えているのか、お伺いいたします。  次に、文学館の建設についてお尋ねいたします。  文学館については、株式会社ウテナが建設した建物を区が借りるという方針のもとに話が進められてきたようですが、この地には、かつてウテナが西側の開発に際し、地域住民との間に長い間トラブルが続いた経緯があります。したがって、このたびの東側の開発に関しては、私どもも自然環境の保全、都市空間の確保といった観点から、経済第一主義の開発が進められることのないように、強い関心を寄せております。幸い、地元の住民から、久保邸の庭に、区民が利用できる施設を区が建設し、緑と水の空間を残してほしい旨、請願が出され、私も紹介議員の一人として署名いたしました。そして、請願が議会において採択され、区はかねてから烏山地域に文学館の建設を考えていたこともあり、久保邸内に文学館を設置することになったわけです。  文学館に関しては、世田谷は、明治、大正、昭和、さらに平成の今日においても数多くの文学者を輩出しており、ほかの地域では見られないような世田谷区の特色を生かす上から、世田谷区にゆかりのある文学に関する資料を、区民全体の財産として後世に残し、また文学を通じて区民の文化振興を図っていくことは、大いに意義あるものと考えます。したがって、このたびの文学館の建設については、基本的に歓迎すべきものと思っております。しかし、一つの危惧されることは、その後の展開がウテナのペースになってはいないかということです。その点も含めて、これまでの取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。  また、文学館については、実施計画に計画事業として載せられておりますが、それによりますと、千平方メートルの敷地に一千五百平方メートルの建物となっているかと思います。しかし、区側の説明によると、今度の文学館は、敷地はともかく、建物の延べ面積が四千五百八十四平方メートルと、当初の構想に比べてかなり大きくなっています。単純に考えれば、建物が大きければ、それだけ多くのものが展示できるということかもしれませんが、このたびの場合は、ウテナが建てたものを区が借りるということで、それだけ賃借料にはね返ってくることになり、一概に大きければよいということにならないのではないかと思います。そこで、当初の構想から大きく変わった点を、今後の計画、将来構想についても示していただきたいと思います。  さらにつけ加えるならば、この文学館とも関連して、公共施設の土地、建物に関する基本方針についてでありますが、本来、公共施設、とりわけ文学館のような恒久施設については、区が土地を取得し、そこに施設を建設すべきものと考えます。このたびの文学館に関しては、まとまった土地の取得が困難な状況にあったとはいえ、あれだけの施設の賃借料を将来にわたって支払っていくとすると、相当の負担になり、ひいては財政の硬直化につながると思います。そこで、今後、公共施設の土地、建物について、今回のように賃借による方法を広げていくのか、見解を示してほしいと思います。  次に、烏山保健相談所の昇格について質問いたします。  今から十年くらい前、保健所たそがれ論が当時の流行語となり、保健所のあり方、存在意義について、各方面で議論が沸騰した時代がありました。ここ数年、保健所をめぐる動きがまた急速に活発化してきております。国におきまして、昭和六十二年九月に、地域保健将来構想検討会が設置され、主として保健所のあり方を中心に検討がなされ、平成元年六月に地域保健将来構想報告書として公表されております。その構想の柱としては、超高齢化社会の到来、国民の健康に関するニーズの多様化、高度化等の社会的条件の変化を踏まえ、今後の地域保健体制のあり方として、一つは包括医療の進展とサービスの質の確保、二つ目として保健・医療・福祉の連携強化、三つ目として新たな公衆衛生活動の展開が掲げられております。  そして、その理念の具体化を図るため、従来からの保健所の都市型、農村型、中間型といった形を抜本的に見直し、保健所業務の中で民間等に移管可能なものは、積極的にその方向で検討することを前提に、その上で保健所を地域包括保健総合戦略の拠点として位置づけております。  また、総務庁におきましても、平成元年二月に保健所の業務運営を中心とした行政監察結果を厚生省に勧告しております。その内容は、一点目といたしまして、結核診療の業務縮小、民間診療機関への委託、二点目といたしまして、一般クリニックの縮小または廃止、三点目といたしまして、試験、検査業務の集中化及び民間委託等、地域保健行政をめぐり環境の著しい変化を踏まえた保健所業務の合理化、効率化を図る観点からの報告となっております。  こうした動向を受け、東京都におきましても、平成元年七月に、東京都保健所問題検討委員会を設置し、保健所活動の現状と問題、あるいは保健所のあり方等について検討を加えながら、平成二年七月には、医療、福祉の連携を目的とした地域ネットワークの拠点として位置づけるなど、二十一世紀へ向けて新しい保健所像を提言しております。  このように、国、都で連続して保健所のあり方について検討され、また既に宮城、静岡、石川、山口、新潟、茨城、奈良、広島県等において、保健所の再編、統合、組織改正が積極的に行われております。特に広島県におきましては、保健・医療・福祉の統合化を図るという視点から、保健所と福祉事務所を統合し、福祉保健センターとするといった大胆な計画が図られております。こうした、国、都、あるいはほかの自治体の動向の背景には、これからの本格的な高齢化社会の到来を前にして、安心して老後の生活を送ることが可能となるように、福祉・保健・医療の連携を強化するとともに、マンパワー確保、活用といった課題に対して、一体的、効果的な対応を図ろうとすることがうかがえ、まさに時代の要請と言っても過言ではありません。  世田谷区におきましては、現在、烏山保健相談所の保健所昇格が具体的に検討されていて、前衛生部次長が開設準備担当として努力されているとのことで、区の積極的な姿勢を評価しておりますが、私は、さきに触れた国や都などの動きを十分考慮され、単に現行の機能のままでの相談所から保健所に昇格させるというのではなく、二十一世紀の高齢化社会を展望した、福祉・保健・医療のネットワークの拠点となるモデル保健所としての機能を持った施設として構想すべきだと考えますが、昇格についての基本的な考え方と、どういう機能を持たせようと考えておられるのか、現在までの検討状況についてお尋ねいたします。  次に、高齢者福祉施策について質問いたします。  毎年九月には、老人福祉週間を中心にさまざまな行事が催されています。ことしも、区報を見ますと、九月十五日前後には、高齢者作品展、演芸会、各種サービスの参加の呼びかけなど、多彩なイベントが用意されております。大勢の人たちがこれらに参加しております。しかし一方では、そのような行事に参加することができないお年寄りもまた大勢いらっしゃいます。家庭で寝たきりの人や、入退院を繰り返している人たち、また足腰の弱ったひとり暮らしで、毎日の生活に不安を抱えながら過ごしている人たちや、そのような家族に対しても、もっと施策の重点を置いて取り組むことが大切であると考えます。  区の高齢者実態調査によりますと、寝たきりの人たち三千六百十一名で、その中で在宅の人は千八百四十名で、五一%に当たり、ほかの千七百七十一名の四九%の人たちが入院中であります。また、ひとり暮らしの人たちは六千八百四十四名であり、六十五歳以上の占める割合は八%に上っております。高齢者のみ世帯は九千五百九名であり、ひとり暮らしの高齢者ともども要援護の対象であります。こうした区の要援護施策の対象となる人は、今後とも増加の一途をたどることは明らかであります。高齢者の援護施策の充実こそ、早急に取り組まれなければなりません。  現在、区の寝たきり等の高齢者のための施策として、粕谷に区立特別養護老人ホームの建設を予定し、設計、運営等の検討が進められて、近々建設に入る段階と伺っております。初めての区立特別養護老人ホームということで、区民の期待も大きいと思います。計画では、百床のホームに在宅サービスセンターや、在宅介護支援センター、訪問看護ステーションを併設し、通所や訪問による地域ケア機能も取り入れる構想が示されており、区民から一日も早い完成が望まれているところです。入所希望者は四百人を超えていると聞いております。百床の特養ホームが粕谷に完成しても、なお多数の待機者が残る状況にあります。区民要望を満たすためには、第二、第三の区立特別養護老人ホームが必要と考えられますが、区当局の今後の建設計画についてどのような見通しを置かれているか、お尋ねいたします。  また、区立特別養護老人ホームの運営については、新たに社会福祉事業団を設立し、そこに委託する構想と伺っております。二十四時間ケア体制の入所施設でありますから、職員も、介護や看護に当たる福祉、医療の専門職を多数配置されることと思います。  そこで、ぜひお願いしておきたいことは、事業団の役割を明確にしていただきたいことであります。また、委託の是非についても十分論議を尽くしていただきたいと思います。配置される職員の処遇面についても、いやしくも三K職場と敬遠されることのないように、区の福祉の常勤職員と同等か、それ以上の待遇について考慮されるよう、今から要望しておきたいと思います。  社会福祉事業団が新設され、区立特別養護老人ホームを運営することになり、併設される在宅サービスセンターも一体的に運営に当たることになると思います。既存の高齢者福祉施設の運営について見ますと、高齢者住宅、在宅サービスセンター、老人福祉センターが一体となった新樹苑は、世田谷区社会福祉協議会に委託しております。また、最近建設している高齢者在宅サービスセンターは、区内の社会福祉法人に委託しているものや、デイホーム大原、デイホーム太子堂のように、世田谷区社会福祉協議会へ委託している施設があります。さらに、食事サービスについてはデイホーム事業として在宅サービスセンターを運営している社会福祉法人が行っているもののほかにも、世田谷ふれあい公社の配食サービス、ボランティア団体が区の補助を受けて実施している給食サービス、民間のシルバー産業が行うもの等、多岐にわたっている状況にあります。  高齢者が住みなれた地に住み続けるための在宅福祉の充実は、必要不可欠のものとなっています。区では、今後とも特養ホームと並行して、在宅サービスセンター、介護支援センター等の整備計画を立てて、区民に身近な場所に福祉施設の建設を進めていく予定と伺っています。しかし、現状では、それぞれの運営委託先が複数に分かれており、今後は社会福祉事業団ができると、区民にとって大変わかりにくいものとなるのも事実です。社会福祉事業団の設立に当たっては、世田谷区社会福祉協議会、民間の社会福祉法人世田谷ふれあい公社等と区の関係について、それぞれの役割分担について調整する必要があると考えますが、それについて区の考え方をお伺いいたします。  次に、週五日制に伴う教育行政について質問いたします。  今月から、全国の公立学校で学校の週五日制が実施されました。毎月の第二土曜日が休みになるわけでありますが、一昨日の十二日が五日制最初の土曜日でございました。新聞等でいろいろ報道されておりましたけれども、世田谷の子供たちがどのように過ごしたのか、現時点では全体的に状況をつかむのは難しいかもしれませんが、教育委員会がこの十二日に行われる予定の行事を「サタデープラン9・12」という冊子にまとめております。区立学校の児童や生徒全員に配布されたということですが、これを見ましても、地域でさまざまな行事が行われたのではないかと思います。時間に追われる今の子供たちが、ゆとりを取り戻して家庭や地域で伸び伸びと成長できるよう、今後、学校週五日制がぜひとも定着していくように期待しているところであります。  学校週五日制の実施に伴い、子供たちが生活体験を豊かにする場として、学校外での活動が活発に行われるよう、これまでにも増して地域の環境づくりが求められております。生徒に対しても、学校教育と家庭、地域社会との連携のあり方が新たに具体的に問われているのではないでしょうか。身近に学校外活動の場を確保するという点では、学校は最も親しみ深い施設であります。学校開放については、本区ではかなり早い段階から取り組んでおりました。年を追って拡大され、現在ではすべての小中学校が、校庭や体育館、格技室、プールなど、何らかの形で開放されております。しかし、今後、学校の週五日制が月一回から月二回、将来的にはすべての土曜日を休みにすることをにらんだものであるとすれば、休日が二日連続する中で、学校開放をさらに積極的に考えていく必要があるのではないかと思います。教室などが二日利用されないで、あいているままというのでは、施設の有効活用という面から見ますと、いかにももったいない話であります。  地域の活性化という面から見ても、五日制導入を契機に、学校開放を一層拡大していく方向で基本的に見直すべきだと思います。今後、学校施設の開放のあり方は、社会教育の分野にとどまらず、福祉、コミュニティーの活動等、多面的な要望にわたるものと思います。福祉やコミュニティー活動ということになれば、区長部局との連携も必要となってまいります。教育委員会としては、区長部局とのかかわりについてどのように考えておられるのか、また今後どのように取り組んでいくのかをお尋ねいたします。  もちろん管理体制や利用面でのルールなど、検討しなければならないこともあろうかと思います。しかし、学校週五日制導入の趣旨を実現する上で、地域に開かれた学校づくりをさらに進めることを要望いたします。  最後に一言触れておきたいと思いますが、小田急線の複々線連続立体化事業の環境影響評価の手続が進められており、事業者の見解に対する意見として、長田中央公害対策審議委員を初めとした専門家の会が、意見を都に提出されました。この意見では、細切れアセスの不当性を訴え、また科学的、技術的に見ても極めておざなりな調査だと指摘し、「本環境影響評価案には著しい欠陥があり、事業による環境への影響予測を誤ることは明白である。環境問題を専門とする我々は、よりよい環境を子孫に伝えていくために、速やかに地下式立体交差等の代替案との比較を行い、環境影響比較をやり直すことを求める」と締めくくっています。また、法律の専門家である弁護士六十名の意見書も提出され、細切れアセスや代替案の経過説明の記載のないこと、大気汚染調査など、調査項目漏れも指摘し、東京都環境影響評価条例に違反していると主張し、やり直しを求めています。  我が党は、この専門家の先生や弁護士の意見について、全くそのとおりであると考えるものであります。環境影響評価条例に従って、区として、東京都、小田急電鉄の事業者に対して適切に措置されるよう強く要望し、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) お答えいたします。  初めに、お話が出ましたように、投票率が全く低いのには残念でならないわけでありますが、何とか投票率を上げるべく、選管とも相談し、あるいはまた都、あるいは政府等にも要望していきたい、こんなふうに考えております。日曜以外の日でいいのかどうかもあることと思いますが、いずれにしても投票率を上げていかないと、このままでは大変残念なことになる、こんなふうに思っております。  それでは、続きまして財政運営の今後の見通しにつきまして、基本計画策定に向けての財源確保はどうなのかというお話でございました。ご指摘のとおり、現在の経済情勢は、個人消費の伸びの鈍化、企業の収益減、また株価や不動産価格の大幅な低下などによりまして、不透明感の強い環境であると認識しております。また、昨今の新聞紙上等においても、国や都の財政状況は大幅な税減収などに伴いまして、財政運営が厳しさを増しております。そこで、区の財政状況について見ますと、区民税を初め、経済動向に直接関連する財源の伸び悩みや落ち込みがあらわれてきており、この状況は、ここ当分の間続くのではないかと考えております。  次に、基本計画の改定と財政測定でございますが、基本構想及び基本計画の策定に向けての審議会設置につきましては、今議会に条例をご提案しているところであります。これは、区政を取り巻く社会経済状況の急激な変化や、多種多様な住民ニーズにこたえる二十一世紀の新たなまちづくりなどの指針を審議検討するためのものでございました。そこで、計画を実行するための裏づけとなる財政見通しでございますが、現在、景気刺激策として、日銀により公定歩合の再度にわたる引き下げや、政府による公共投資の拡大、公共用地の先行取得などの緊急総合経済対策などの施策が行われております。経済企画庁では、この緊急総合経済対策の効果があらわれるのは、来年の一月から、あるいは三月ごろと予測しております。しかしながら、区の税構造などを考えますと、税収に結びつくのは一、二年先となり、当面、厳しい財政状況が続くものと考えております。  いずれにいたしましても、基本計画策定に向けての財政計画につきましては、目先にとらわれず、将来を的確に見通し、計画を着実に推進できるものとしなければなりません。そのためには、起債や基金の計画的な活用、財調制度における基準財政需要額の算定範囲の拡大、都市計画交付金対象事業の充実、また都区制度改革を初めとする新たな財源の確保を図るための努力を積極的に行ってまいりたい、このように考えております。  続きまして、烏山保健所の昇格につきましてお答え申し上げておきます。  烏山保健相談所につきましては、総合支所発足にあわせまして、従来扱っていなかった衛生関係の対物サービスについても、窓口を開設いたしまして、保健所と同等のサービスの提供に努めているところでございます。利用者からは、大変便利になったという評判をいただいております。  ご質問にもございましたように、これからの超高齢社会に対応していくためには、保健・医療・福祉の提携をいかに密にしていくかが重要課題でございます。県保健所と市保健所では、その業務内容に違いがございますが、ただいま広島県を例に挙げてお話がございましたように、今後、一層の保健と福祉の連携強化が求められてまいっているところであります。  保健所にどのような機能を持たせるかとのお尋ねでございますけれども、第一に、国や都が開発を進めている保健医療情報システムや、地域からの保健・医療・福祉に関する情報を得て、地域住民、関係機関への情報提供サービスを行う機能。第二に、保健所が、保健・医療・福祉などに関するさまざまな問い合わせに総合的に対処できる総合相談窓口の設置。第三には、近年、医療技術の進歩により、従来、医療施設内でしか行えなかった治療方法が、在宅で実施可能となっている状況から、在宅医療の供給体制、患者、家族への支援体制などの実施。また、第四といたしましては、地域における保健、福祉の増進を図るために、家庭の主婦などを対象にした新しい形の教室の開催、講習会を行い、地域の実情に応じた対人保健サービスの展開。以上が、現在、新しい保健所の機能として検討している内容でございまして、ご指摘もございましたように、これらの点を基本的視点にとらえて、世田谷区の保健所にふさわしい保健所設置を目指して検討を進めてまいりたいと存じております。  続きまして、区立特別養護老人ホームの建設計画に対する考え方でございますが、近年、核家族化の進展や、家族の扶養意識の変化、女性の社会進出などの影響を受けまして、増加を続ける高齢者の方々の介護が、ご家族だけでは対応できなくなりつつあります。こうした社会情勢の変化の中で、これまで区として民間の社会福祉法人への建設費を助成する形で、特別養護老人ホームの整備を行ってまいりました。しかしながら、ご指摘のように、入所待機者が現在四百人を超え、今後さらにふえ続けることから、区が、このような入所需要に対し積極的にこたえることが求められてきております。  そこで、区として初めての区立特別養護老人ホームの建設に続いて、二番目の用地を上北沢に確保し、現在その建設に向けて設計構想の準備を進めているところであります。さらに、三番目といたしまして、北沢にあります国鉄清算事業団の用地取得に向けて、鋭意交渉を進めているところであります。今後、特別養護老人ホームの建設につきましては、地域のニーズを的確に把握し、積極的に用地の取得に努め、整備を推進してまいりたい、このように考えております。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) 文学館の建設の中で、これまでの取り組みと、今後の計画と将来構想についてお答えをいたします。  文学館のこれまでの取り組みにつきましては、議会で請願が採択された後にウテナと交渉を始めまして、ウテナより、請願に沿った対応をしてもよい旨、了解を得ました。区では、その後、早速文学館基本構想検討委員会を設置しまして、十分検討をいただいた上で答申を受け、さらに区としても、その答申の内容を精査いたしまして、区の意向が十分に反映された建物となるよう、ウテナと協議を重ねてまいりました。  これまでの展開がウテナのペースで進められているとのご心配もございますが、確かにウテナの開発計画に合わせるという時間的な制約はございました。しかし、建物そのものに関しましては、十分区の意向を反映したものになったと考えております。また、賃借料につきましては、それぞれが専門家による第三者の不動産鑑定士に依頼した上で、財産評価委員会に諮るということで、適正な金額が設定されるものと考えております。  今後の計画につきましては、間もなくウテナの方で建設に着手いたします。平成五年十二月には竣工する予定になっております。その段階で区が借り上げ、区の方で内装、造作工事及び展示工事をした上で、平成七年秋には開館できるように準備を進めております。また、運営につきましては、財団での運営を予定しておりますが、その内容につきましては、検討委員会を設置いたしまして、新しい文学館を目指して十分検討してまいりたいと考えております。  将来構想としましては、先ほど申し上げましたが、従来の、ただ展示物を見るという文学館ではなく、映画、音楽、講演会、さらには美術展など、幅広い文化活動を展開し、文学研究者のみならず、多くの人々に親しまれる施設にしてまいりたいと考えております。また、周辺の文学館とも交流を図るなど、ネットワークを広げたり、この文学館で得られた情報を図書館などとオンラインで結ぶなど、区民の方が身近なところで文学情報を得られるようなことも考えていきたいと思っております。  次に、社会福祉事業団の設立に当たってのそれぞれの事業の調整ということでご質問がございました。お答えいたします。  区民の高齢化が急速に進展することに伴い、多様化し、増大する福祉ニーズに対応できるように、区は、ふれあい公社や社会福祉協議会など、区と密接な関係を有する諸団体と連携しながら、在宅福祉を基調とする総合的な福祉サービスの提供に努めてきております。現在、区として初めての区立特別養護老人ホームの建設に着手しておりますが、この区立特別養護老人ホームは、単に収容の場にとどめることなく、その機能を十分に生かしながら、在宅福祉サービスの拠点としての位置づけ、今後設立する社会福祉事業団がその運営を担っていくよう準備を進めております。  高齢者福祉サービスが多様な供給主体により展開されるに伴いまして、サービスの利用方法が多岐に分かれていくことになりますが、サービスを利用する高齢者にとっては、必要なサービスを、必要なときに受けることができるシステムをつくっていくことが必要だと考えております。そこで、こうしたシステムをつくり、総合的な福祉サービスの提供を確保していくために、お話にもございました、区を初め社会福祉協議会、あるいはふれあい公社等の福祉サービスの調整や、区民の方々がわかりやすく、利用しやすい相談体制等の整備について、社会福祉事業団の設立とあわせて検討を進めてまいります。  以上です。    〔教育長小野原進君登壇〕 ◎教育長(小野原進 君) 学校週五日制と、地域コミュニティーづくりの場としての学校施設についてお答えいたします。  九月十二日、学校週五日制は、関係各位のご協力によりスタートいたしました。当日の学校での催し物等を見ますと、学校に対する区民の方々の期待の大きさを改めて感じた次第でございます。現在の学校は、学校教育の場であると同時に、生涯学習の場であり、そして地域に密着したコミュニティー形成の場であるという考えのもとに、学校開放を進めているところでございます。開放に当たりましては、地域社会との関連をより強める方向で、学校関係者の理解と協力のもとに、区民施設と同様、地域の身近な施設として開放してまいっております。特に地域とのかかわりにつきましては、地域における諸活動、例えば地区まつり、地区運動会などをまちづくり推進の場として提供するなど、対応してきているところでございます。  今後、コミュニティー活動のさらなる活性化に向けて、教育施設の多様な活用を図るとともに、関連部局となお一層の連携を推進してまいりたいと考えております。 ◎企画部長(田中勇輔 君) 私の方からは、起債の関係についてお答え申し上げます。  ご案内のとおり、起債は一時的に多額の財源を確保でき、年度間の需要のバランスを保ちますとともに、世代間の負担の公平性を図る有効な手段でございます。東京都におきましても、本年度当初予算で、起債依存度が前年度比一・五ポイント増の五・一%、また先日発表されました補正予算案を見ましても、税収の落ち込みを反映し、総額一千百八十四億円の大半に当たります九百六十二億円を起債で賄うなど、起債による財源の確保を積極的に図っております。さらに昨今、国におきましても、公共事業の拡大を背景に、地方単独事業の大幅な起債枠の拡大を図っておるところでございます。一方、当区の本年度の特別区債は、ご質問にもございましたように、今回提案してございます補正予算も含めまして、総額八十一億七千八百万円と相なっております。  さて、今後の起債の活用でございますが、平成五年度以降も、中町小学校、玉川中学校の改築、大型公共施設の建設、また生産緑地法に関する用地への対応など、一時的に多額の財源が必要となり、他の事業を進める上で財政的な制約や影響も大きくなってまいります。そこで、事業の計画的な執行や、財源の年度間のバランスを保つためにも、全体の財政規模、あるいは事業の内容等を十分精査しました上で、起債の活用を図っていく考えでございます。  次に、平成三年度末の土地開発公社、都市整備公社、両公社を含めました借入現在高は七百九十六億四千万円と相なっております。  いずれにいたしましても、起債の運用に当たりましては、長期的な視点に立ち、後年度の財政負担等を考慮しつつ、また公債費比率や起債依存度をにらみながら、柔軟かつ積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎総務部長(清水潤三 君) 文学館の関係で、規模の問題と、それから土地、建物の基本方針についてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。  昭和六十二年に計画をいたしました段階では、それまでの文学館同様、千平米から千五百平米で、資料の展示ということだけで考えておりました。しかし、現実に文学館を建設するということで、文学館の基本構想検討委員会を設置いたしまして、ご検討いただきました。当文学館につきましては、単に資料の展示だけではなく、先ほど助役からご答弁申し上げましたように、文学を中心とした幅広い文化活動をあわせて展開するというご意見をいただきましたので、区といたしましても、文学館のイメージを変えまして、新しい文学館を目指すということで、このような規模になった次第でございます。  また、公共施設に関する土地、建物の基本方針でございますが、やはり区がみずから土地を取得し、建物を建てるということが基本であるというふうに考えてございます。ただ、その事業の性格、あるいは望ましい地域に土地、建物が確保できないといった場合には、いろんな条件を十分勘案をいたしまして、例外として、民間の土地、あるいは建物を借り受けることも考えざるを得ないということでございます。ご理解を賜りたいと思います。  以上でございます。 ◆八番(西村孝 君) 前向きな答弁のあった部分については了といたします。  時間の関係で一言だけ触れておきたいと思うのは、文学館の建設については、大体四十三億かかるのではないかということが想定されていますが、これは、先ほどの答弁を聞きますと、適正な価格で借りる、これはごく当たり前の答弁であります。四十三億かかる建設物に、想定したところで、月に大体五千万円近くの賃借料ではないか。大ざっぱに想定したところ、そのように考えられますので、このままだったら一年間六億、十年で六十億ですよ。これらについても、基本構想検討委員会などがあるそうですので、それらも含めて検討されることを要望して、終わります。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で西村孝君の質問は終わりました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、自由民主党を代表いたしまして、五十番土田正人君。    〔五十番土田正人君登壇〕(拍手) ◆五十番(土田正人 君) 私は、自由民主党を代表し、区が緊急に取り組むべき諸問題について質問をいたします。  過日、私たち区議団は北陸の小松市を訪れる機会がありました。ごみ、リサイクルで、行政が住民運動を育てるという手法をとっているのを視察したわけでございますが、市役所を訪問したとき、議場に案内されましたところ、そこには壇上に国旗と市旗が飾られてあり、大変厳粛な光景に感激を覚えました。議長さんに伺いましたところ、これは以前から自然な形で掲げられており、当市の誇りでもありますと淡々と話をされていました。  では、本論に入ります。  近年、異常なまでに値上がりをした地価は、金融引き締めなどの効果もあって、三大都市圏を中心に値下がり傾向にあります。とはいえ、経済や金融などの一極集中に見舞われた東京は、住宅や住環境の面においてさまざまなひずみを生じ、今もって不安定な状態に置かれていると言っても過言ではないと思います。しかし、バブル経済が崩壊した今、地道な生活に戻していこうとする動きが随所に見受けられ、私は、これは当然なことであると思います。そして、まちづくりについても、そのような考え方を今後取り入れていく必要があるのではないかと考えます。今までは、地価上昇や一極集中の波に押されて、都市問題はひたすら防戦一方に回っていましたが、今やじっくりと腰を落ちつけ、自主ペースで前向きに展開していくべきときがきたと思います。その意味からも、さきの国会で改正された都市計画法と建築基準法に対して、区は最初の取り組みからしっかりした考え方を持っておかなければならない、それが基本であると思うのでございます。  そこで、まずお伺いしたいのは、今回の都市計画法及び建築基準法の改正は、どこにその目的があるのか、また区はこの改正を受けて、今後どのような視点からまちづくりに取り組むのか、基本的なお考えをお聞かせください。  さて、今回の都市計画法の改正は、用途地域の変更を基本に置いているので、これからますます土地利用にかかわる事項が重要な問題となってまいります。我が区の場合、環状八号線以西に農地が多く存在していますが、生産緑地法の改正に伴う農地をめぐる新たな動きの中で、この地域のまちづくりを今後どのように展開していくのか、この問題について我が党は、六月定例会の代表質問と一般質問でも取り上げ、理事者から積極的な答弁をいただきましたが、それが今回の都市計画法の改正とどのようにかかわるのか、非常に関心を持っているところでございます。この西部地域は、道路等の基盤整備を含め、まちづくりの必要性が強く叫ばれていながら、現状はなかなか進展しておりません。住民からは、建ぺい率、容積率の強い引き上げ要望もありましたが、低いまま据え置かれております。もちろん、区画整理などの事業が進めば、当然適正な用途地域の変更が行われるはずであり、区も区画整理事業の掘り起こしに努力されているようですが、地域の大半は、そこまで進んでいないのが実情でございます。換言すれば、地域が将来に向け適正に利用できる用途指定を望んでまちづくりをしてみても、その手法と結果がうまくかみ合わず、その方向性もよくわからないでいるのであります。  そうこうしているうちに、新しい用途地域指定の準備は着々と進んで、これらの地域は、いつの間にか現在の用途に見合った指定に色づけされる結果に終わってしまうのではないか。このあたりが大変危惧される部分でございます。前回の一斉見直しのときには、まちづくりと連動した用途地域の変更が基本であるとの一貫した考え方が示されていましたが、今回も、その考え方が引き継がれるとすれば、これらの地域はどうなるのでしょうか。  そこで、お伺いするのですが、もはや地域の実情に合わなくなっている区画整理を施行すべき区域を中心とした地域の用途指定をどのように変更するのか。最近、区ではこの地域について独自の地区計画を検討していると聞いておりますが、そのあたりも含めてお聞かせ願いたいと思います。  首都東京への一極集中、あるいは地価高騰への対応が、今回の都市計画法と建築基準法の改正の根底にあることは理解できますが、そこで大切なことは、区市町村には、それぞれに異なった事情や、地域の特性が存在するということでございます。区は、このことを十分に念頭に置いた上で、積極的に取り組んでほしいと思います。基礎的自治体としての世田谷区は、まちづくりに対するそれなりの考え方があって当然でございます。現実に合った適切な対応を重ねて望みます。  次は、都市に潤いや安らぎをもたらす緑の保全、創出についてお伺いいたします。  私たちの生活様式は、これまで利便性や経済性に重きを置いてきたため、環境への配慮が十分になされず、生活排水による河川の汚濁や、増大するごみ、さらには生活騒音など、さまざまな環境問題を発生させております。また近年では、地球の温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨の問題が地球規模で叫ばれております。こうしたことは、日本のみならず地球全体という、今まででは考えられないようなスケールで対応しなければ、解決できない問題であります。私たちを含めて、地球に住む人間一人一人が、日常生活の中で地球環境とのかかわりを絶えず考えていかなければならないと言えます。  翻って、私たちが住んでいる世田谷区の町を見てみますと、都市化の進展に伴い、豊かで美しかった緑や水などの自然環境が年々失われつつあります。区の「みどりの現況調査」によれば、昭和四十八年に三三・九%あった緑被率は、平成元年には二三・三%と、十六年間に約十ポイントも減少してしまいました。この十六年間の経年変化で見ましても、公園や住宅地の樹木はほとんど変化していないのに対して、農地を含む草地は一八・五%から七・二%と、六割以上も大幅に減っております。中でも、緑地空間として重要な役割を果たしてきた農地は、生産緑地法の改正によって、減少傾向が一気に加速することは明らかであります。こうした農地を含めた緑地や河川の水は、都市に生活する住民に安らぎと潤いをもたらすかけがえのないもので、都市化が進展すればするほど、ますます重要な価値を持ってきます。この貴重な自然環境を大切に保全し、次の世代に引き継いでいくことは、我々に課せられた責務ではないでしょうか。  ところで、区では、新基本計画の中で、望ましい緑の量として、緑被率三〇%の実現を目標に掲げ、その達成に向けて積極的に取り組んでおりますが、過密化する都市構造や生産緑地法改正のような新たな社会的要因などを考えますと、区の担当部署が今まで以上に努力していくことはもちろんでございますが、行政だけでなく、区民の協力も得ていかなければ、その実現は難しいのではないかと思います。  当区では、年々減少しつつある自然環境を守り育てていくために、行政と区民とによる協働の仕組みとして、平成元年四月に、任意団体として、せたがやトラスト協会を発足させました。その後、財団法人の認可も受け、緑化の普及啓発や、自然観察会などの各種イベントの実施、トラスト運動を支えるボランティアの育成などに取り組んだ結果、賛助会員も徐々にふえ、現在では四千を超えました。貴重な自然環境を守り育てるためには、区民や企業の協力は絶対に欠かせません。その意味からも、トラスト協会に対する期待、役割は大変に大きいものがございます。これまでのトラスト協会の活動について、区ではどのように評価し、今後どう協会を育てていくお考えなのか、ここで承りたいと存じます。
     また、区のみずとみどりの課でも、緑化の普及啓発や緑化事業など、協会と同じような事業を行っていますが、区とトラスト協会との役割分担についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。  さて、日本でのナショナルトラスト運動は、鎌倉の鶴ケ岡八幡宮の裏山の自然を守ろうという鎌倉風致保存会の運動が始まりと言われております。その後、すばらしい自然環境や歴史的環境を残すため、このトラスト運動が各地で広まり、北海道の知床半島の原生林復元や、和歌山県田辺市の天神崎の買い取り運動などは全国的に有名になり、既にご存じのことと思います。この運動の基本は、住民や自治体が中心となって、広く国民から寄附を募り、土地などを買い取ったり、また寄附を受けて、保存、管理、公開する運動であります。  世田谷区にも、かつての武蔵野のおもかげを残す樹林地や国分寺崖線の緑など、買い取って次の世代に残しておきたい自然がまだたくさんございますが、最近の地価などを考えますと、まず買い取りは難しいと思われます。そこで、良好な自然環境を保全していく方法としては、買い取りではなく、土地所有者から借り受けるなり、また固定資産税分を援助して保全契約を結ぶなど、別の有効な手だてを考える必要があると思います。樹林地や屋敷林だけでなく、今回、生産緑地法の指定を受けなかった農地、あるいは指定にならなかった農地などについて、少しでも保存できる仕組みを考えていただきたいと思います。特に農地については、区民農園、観光農園として、また一種のクラインガルテンとして広く区民に開放すれば、農地の保全にもなりますし、区民からも大変喜ばれることと思いますが、いかがでしょうか。  続きまして、昨年の四月に地域行政制度が発足しましたが、これをさらに発展、充実させていく視点から、何点かをお尋ねいたします。  去る二日、第三庁舎が落成し、世田谷総合支所の各部署が一つにまとまり、ようやく五つの総合支所がそろい踏みをいたしました。昭和五十四年の地域行政推進本部の設置から十三年目で、名実ともに本格実施と相なりました。そもそもこの制度は、人口八十万を擁する当区において、地域からの発想をもっと大切にし、きめ細かく行政を行っていくために、本庁に集中している権限を思い切って地域に分散し、地域を単位とした行政の仕組みを目指したものでございます。これは、従来の本所中心の区政運営を、現地性、効率性、総合性、利便性の視点から見直すことにより、行政の複雑さによる区政の見えにくさや、本所への機能集中による区民と区政の間の物理的、心理的な距離の拡大という弊害を解消し、地域住民に密着した「打てば響くまちづくり」を進めようという発想でございます。このことは、地方の時代の当然の要請でございます。二十一世紀を展望した新しい区政の姿でもございます。  ところで、八月十三日、日経新聞の社説は、世田谷清掃工場の事例を取り上げておりました。内容を紹介しますと、高い煙突は赤と白のだんだら模様が普通だ。東京都の世田谷清掃工場の百メートルの煙突もこの模様だった。ところが、隣に美術館ができてからは、不似合いな色や模様を変えてほしいという声が住民から出るようになった。区は建築主の都や、運輸省と何度も折衝した結果、ようやく運輸省はカラーデザインへの変更を了解した。三年越しの交渉だった。区は煙突コンペで全国からデザインを募集した。今、煙突は青い空に白い雲をイメージしたものに一変している。そのほか幾つかの自治体の事例の後「真に豊かな社会を実現するためには地方分権が欠かせない。その担い手となる自治体は住民にとって最も身近な役所である。特に、基礎的自治体としての市町村は住民の生活に責任を持っていると同時に、住民のニーズを把握しやすい立場にある。自治体の機能と役割が時代とともに変わっていることを自覚し、自治体自身も意識改革することがいま求められている」と結んでおりました。  地方の時代、地方分権と声高く叫んでも、なかなか国の壁は厚く、実効が上がらないのであります。しかし、地方は地方なりに、限られた権限と財源の中で種々工夫を重ね、その好例として、この煙突が紹介されたわけでございます。この例は、地域行政制度の成果ということではありませんが、行政が住民の声を真摯に聞き、その実現に向け粘り強く取り組まなければならない。そうすれば成果も期待できると教えてくれていると思います。  広い世田谷には、役所が把握し切れない課題がまだたくさんあると思います。地方分権の受け皿として、自治体は、縦割り行政の弊害から抜け出し、総合的な行政展開を進める必要性を求められておりますが、地域の声をよく聞き、権限、財源のハンディを乗り越えて、住民と行政が一致努力していくことが重要であります。  この意味から、私は、地域行政制度は、二十三区中最大の人口と面積を擁する世田谷区こそ必要な制度であり、時代の要請でもあると考えております。その制度も一年余を経過し、所期の目的である「打てば響くまちづくり」も順調に進んでおりますが、既に述べたごとく、地域には、なかなか行政で取り上げてもらえない問題が残されていることも事実でございます。今こそ住民サービスの面で一層の充実が図られるべきであると考えます。  そこで、まず第一にお伺いしますが、総合支所制度の発足と同時に、多くの仕事や権限が移譲されましたが、住民に密着した総合的行政を展開するためには、まだまだ十分とは言えないと思います。地域のことを一々本所にお伺い立てるのでは、総合支所をつくった意味がありません。それぞれの地域に権限と予算をもっと移譲すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。  次に、地域の課題の掘り起こしについてであります。的確な課題の把握が地域行政のかぎだと思います。調査なくして計画なく、計画なくして実現なしと言われますが、今後どのような潜在課題の掘り起こしを進めるお考えか、お伺いいたしたいと思います。  最後に、窓口サービスについて伺います。  区民の利便性を考えますと、区民に密接にかかわる窓口サービスは、すべて総合支所で扱うのが望ましい姿だと思いますが、現実的には、まだ幾つかの手続が本所でなければ受け付けられないものがあります。このため、人員や予算で地域への分散が見送られているものもございます。しかし、情報機器が発達した今日、人や金を使わないでも分散が可能なものもあります。打てば響けるように、公共施設予約システムや福祉システムなどの検討を進めていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。  四番目に、今後の財政計画と財政運営についてお伺いいたします。  現在、我が国を取り巻く経済情勢は極めて厳しいものがあります。バブル経済の崩壊後の後遺症による低迷がまだ続き、さきに大蔵省が発表した国の税収見通しでも、一般会計の税収の三割を占める法人税は、企業収益の落ち込みなどを反映して、前年対二四%もの大幅な減収となっております。所得税でも、給与所得やボーナスの伸びの鈍化を初め、金利の引き下げによる利子割の減少なども加わり、約一兆数千億の落ち込みが予想されております。民間の調査機関によりますと、国の実質経済成長率三・五%は、達成が困難であると予測しております。さらに、公共事業前倒しなど、七項目を柱とした緊急の景気回復策もいまだ功を奏しておらず、まさに日本経済は冬の時代を迎えました。先週末の日銀の企業短期経済観測調査の発表でも、経営者の景気判断は「一段と悪化する」と報じております。  また、八月十三日の読売新聞は「都税減収四千億に迫る。前年度比税収一割減。バブル崩壊直撃」という見出しで、都の税収見通しの記事が載っておりました。それによると、都税収入の大半を占める法人二税は、当初予算よりも三千五百億円、利息にかかる都民税利子割は一千五百億円の大幅な減収になるとのことでございます。これは、前年度実績の四兆八千五百億と比べても約一割前後の落ち込みとなり、一挙に昭和六十三年度の水準に逆戻りするほどの事態になっております。こうした状況から、東京都では、来年度予算の概算要求において、前年度の当初予算比で一〇%の削減を各局に通達する一方、改定作業が進められている総合実施計画でも、新規事業のうち緊急性のないものや、経常的な事業については計画の対象外とすることを決め、税収の大幅減収に対応していく方針と聞いております。このように、国や都の厳しい財政状況を考えますと、区の財政運営も相当苦しい事態に陥るのではないかと心配されます。そこで、まず今後の事業計画の進捗に見合った財政運営をどのように考えているのか、お伺いをいたします。  次に、財源の確保ということでございますが、基本計画の計画事業を着実に実現していくためには、その裏づけが大切であります。特に、当区では、これから三軒茶屋や二子玉川の再開発を初め、特養ホームの建設、学校改築等の大型プロジェクトがメジロ押しに計画されております。厳しい財政環境の中で、こうしたプロジェクトを後退させることなく、確実に推進させるためには、長期的視点からの財政計画が最も重要でございます。今のように経済が混迷している時期だけに、非常に困難なことと思いますが、だからこそ今まで以上に的確な財政見通しを立て、着実な区政運営を図っていくことが、区民の信頼にこたえる道だと考えます。  そこで、お尋ねしますが、財政環境の大変に厳しい中で、来年度の予算をどのように編成していくのか。先ほども申し上げましたが、都ではいろいろな対応策を打ち出しておりますが、区ではどのような姿勢で予算編成に臨むのか、具体的な方針をお聞かせ願いたいと思います。  最後になりましたが、区政が当面する課題について、三点ほど意見と要望を申し上げておきたいと思います。  まず、三軒茶屋の再開発事業についてでございますが、一昨日、起工式が盛大に行われ、私も出席いたしましたが、再開発組合を初め関係者の十三年間にわたるご努力に対し、厚く敬意を表したいと存じます。  ところで、再開発ビルの最上階である二十六階の床の取得については、議会の要請も酌み入れ、都市整備公社が取得することになったことを多とするものでございます。しかしながら、さきに説明のあった利用計画では、展望レストラン機能に力点を置いた設計となっており、いまひとつ工夫の余地があるように思われます。我が党は、三月の定例会でも申し上げたとおり、区民がだれでも気軽に区内を一望しながら憩い、改めて地域への愛着や誇りを持てる施設内容にしてほしいと願うものであります。これには、建築の技術的な面や、都市整備公社が取得するための採算の問題など、さまざまな制約があることは理解できますが、さらに創意工夫し、区民に喜ばれる施設とするよう要望しておきます。  次は、文学館についてであります。これは既に他会派からも質問がありましたので詳細は省きますが、基本的には、文学館のような恒久的な施設については、自前で建てるべきだと思います。したがって、この文学館については、いつまでも借りるということではなく、早期に買い取るなど、賃借料による財政の硬直化を避けるような配慮を、我が党としても願うものでございます。  最後に、小田急線の立体化事業でございますが、我が会派は、踏切での交通渋滞の解消と、輸送力の増強による混雑の緩和を一日でも早く実現する観点から、東京都や区に対して積極的な取り組みを強く要望してまいりました。こうした中、梅ケ丘以西については、本年の一月に都市計画案と環境影響評価書案が、また先月には見解書の住民説明会が開催され、事業化への先行きが見えてまいり、長い間の不便がようやく解消されるものと喜んでいるところであります。しかしながら、梅ケ丘以東については、いまだに計画の概要が示されておりません。小田急線利用者や沿線住民の強い願いでもある立体化の早期完成に向けて、引き続き努力をしていただくことを要望いたします。  以上、当面の課題三点について要望いたしましたが、最初の二点につきましては、事業の計画が進行する過程において、議会側とさらに率直かつ緊密な協議が持たれていたならば、問題点はすべて煮詰まっていたと存じます。今後も、重要な事業等については、プロセスを大切にし、企画段階からなお一層の合意形成について努めていただきたく、強く要望をいたします。  また、小田急線問題については、事業全体の期限も設定されており、今、重要な時期に来ております。どうか、よりよい関連まちづくりを目指し、区長以下、不退転の決意を持って早期完成に努力されるよう、重ねて要望をいたします。  以上をもって、私の壇上からの質問は終わります。(拍手)    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) 初めに、都市計画と建築基準法の改正に伴う今後のまちづくりについて、法改正の目的は何かということでございました。これらについてお答え申し上げたいと思います。  今回の法改正の趣旨は、ご指摘のとおり、地価高騰に対応した金融、税制などの総合的な土地政策の一環として、土地利用計画制度の充実を図るとともに、良好な市街地の環境を整備し、都市の秩序ある発展を図ることであると説明されております。区では、これまで用途地域指定等の土地利用計画を策定する際の基本的な指針として、都市整備方針を活用してまいりました。したがいまして、今回の法改正に当たり、基本的には都市整備方針に沿い、かつ二十一世紀のまちづくりにも十分対応するという視点から、見直しをしてまいりたいと考えております。同時に、法改正の趣旨を踏まえ、地価高騰や一極集中問題にも対応できる、秩序ある新しい都市像の具体化を目指してまいりたいと存じます。そのため、昨年度実施した土地利用に関する詳細な調査結果をもとに、将来の都市像を展望しながら、区の実情に即した用途地域指定方針を作成いたしまして、きめ細かく対処していく考えでございます。このような考え方に基づきまして、安心して住み続けられる、活力ある世田谷にふさわしいまちづくりを進めていく所存でございます。  続きまして、財政計画について、事業計画に見合った財政運営はどうなっているかというご質問でございます。我が国経済は、個人消費の伸びの鈍化が続いておりまして、企業収益も一段と悪化し、景気の低迷が続いております。このような経済背景のもと、政府は、総合経済対策として、公共投資などの拡大を初めとする総額十兆七千億円に上る景気回復に向けての方針を決定しております。しかしながら、国や都を取り巻く財政環境はいまだ厳しい状況に置かれております。  一方、本区の財政状況も、歳入の根幹をなす特別区民税が、譲渡所得の低下により、例年並みの伸びは期待できず、第二の一般財源である利子割交付金も、現在のところ大幅な減収になる見込みであります。歳入予算全体でも、来年度における伸びは期待できず、厳しい財政状況になるものと認識しております。  ところで、お話にもございましたように、既に後期実施計画に基づく再開発事業や、特別養護老人ホームを初めとする公共施設の建設事業に着手しております。したがいまして、厳しい財政環境の中ではありますが、財源の確保を図り、これらの計画、事業実現に向けて、積極的かつ柔軟な財政運営に心がけていかなければならないと考えております。  そこで、当面、歳入の伸び悩みなどに対処するため、事業の見直しを図る一方、区民税の徴収努力、起債の有効活用や、基金の繰り入れ、また交付金や補助金の確保に向けて取り組んでいきたいと思います。また、今後は国や東京都の財政状況や経済動向を十分注視するととともに、財政運営の基本姿勢である、最少の経費で最大の効果を上げるため、常に行財政点検などを進め、より一層安定的かつ効率的な予算執行に努めまして、計画の実現を図り、区民サービスの低下を来さないよう全力を尽くす決意でございます。  続きまして、財政計画について、平成五年度予算編成の具体的な方針というお尋ねでございます。先ほどもご答弁申し上げましたとおり、区の財政状況は近年になく厳しいものになってきております。さらに、平成五年度におきましては、区税を初めとする歳入予算が伸び悩み、財政環境はさらに厳しいものになると考えております。このような状況の中で、区の基本計画事業を着実に推進し、住民サービスの向上を図っていくためには、財源の重点的かつ効率的配分に徹した予算の編成を行っていかなければならないと考えております。  国におきましては、概算要求基準における経常経費を原則マイナス一〇%とするなど、経費削減に努めております。また、ご質問にもありましたように、都におきましても、要求基準において事務的経費を一〇%削減する方針を決定しております。さらにOA経費の見直しなど、事業の必要性や効率を十分検討する方針も示されております。  そこで、平成五年度の当区の予算編成方針でございますが、事務的経費のうち消耗品及び印刷製本費を前年度比一律一〇%削減することを初め、各事業についても鋭意工夫を重ね、真に必要かつ緊急な経費のみにするなど、厳しい対応を図っております。しかし、財政状況が厳しくなることは認識しておりますが、今まで積み上げてまいりました実績や事業に取り組む意欲の停滞を来さぬよう、計画実現に向け努力するとともに、区民の立場に立った行政を推進するよう、全庁を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、ご理解賜りたいと思います。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) 私からは、地域行政制度の中で、総合支所の権限と予算をもっと移譲すべきという、この問題についてお答えいたします。  平成三年四月に発足した地域行政制度も、はや一年半を迎えようとしています。この間、皆様のご協力によりまして、地域の特性を生かしたまちづくりが一層本格化しつつあります。特に総合支所は、ハード、ソフトのまちづくり事業を総合的に推進し、区民の身近な区役所として評価を得ているところでございます。ご質問の総合支所の権限と予算でございますが、総合支所長は、所内職員の人事権はもとより、工事請負契約締結などにおける事案決定について、本庁部長をはるかに超える権限を付与され、地域課題の迅速な解決が図られるような権限と仕組みがなされているところでございます。  今後とも地域行政を推進する視点から、本庁と総合支所の役割分担をより明確化し、できるだけ総合支所において即決できるシステムを検討しながら、総合支所の権限の拡充に努めてまいりたいと考えております。    〔助役川瀬益雄君登壇〕 ◎助役(川瀬益雄 君) ご質問のございました、環八以西の土地区画整理事業を施行すべき区域を中心とした今後のまちづくりの展開について、お答えを申し上げます。  土地区画整理事業を施行すべき地域につきましては、現在、地元の関係者によりまして、約一割が組合施行による事業として進められております。さらに二地区で地元説明会などを行って、掘り起こしに努力しておりますが、それ以外の地域は、ご指摘のような宅地化の進行などによりまして、事業化が困難になりつつあります。このような状況の中で、今回の都市農地の保全を目的とした生産緑地法の改正によりまして、既存農地の過半が保全すべき農地に指定されました。そして同時に、指定を受けなかった農地については、近い将来、宅地化する方向へと向かっていくものと思われまして、土地利用が二分化することになります。  特に懸念されますのは、宅地化農地の急激な市街化でございまして、このまま放置すれば、個別開発の波に押されまして、無秩序な市街化が虫食い的に進展することが予想されます。このため、今次の法改正に伴う用地見直しに先行いたしまして、スプロールの抑制を図りながら、良好な住宅地へと適正かつ有効に誘導することが急務になっていると考えております。  そこで、現在、都市基盤が脆弱なこれらの地域を対象にいたしまして、この課題に対応しました地区計画を検討しております。具体的には、この地区計画によりまして、農地の宅地化する過程で、新たな道路づくりを適正に誘導いたしましたり、建てかえ時には前面道路の拡幅を指導していきたいと考えております。その際、道路の整備に寄与した者につきましては、建ぺい率及び容積率を緩和する措置を行ってまいりたいと考えております。  なお、その緩和の内容につきましては、通常の戸建て住宅地に見合ったものとなるようにしたいと考えておりまして、この地区計画はこれまでに例を見ないものでございますが、都や国に働きかけ、検討をいたしております。しかし、この地区計画は、あくまで最終的な基盤整備に至るまでの過渡的なものでございますので、区としましては、地域のまちづくりの機運の醸成に努めながら、引き続きこれまでと同様に土地区画整理事業や、従来型の地区計画へと誘導してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、今回策定しようとしている地区計画を有効に展開しながら、地元の協力も得、適切な都市基盤に支えられた市街地の形成に努めていく所存でございます。  次に、トラスト協会の評価についてご質問がございました。ご指摘のとおり、トラスト協会は、平成元年、区民と区政の共同、協力による樹林地や湧水地などを開発から保全し、活用することなどを目的といたしまして設立されました。自然観察会、緑化講習会などの各種イベントの開催、賛助会員の募集、PR活動を通しまして、賛助会員も、設立以来年間千人を超える入会がございまして、現在、四千人を超える状況になってございます。また、国分寺崖線の現況調査などの調査研究、ボランティア研修会、講師派遣などの民間団体の支援活動、テキスト、「緑化通信」の発行など、緑化推進に関する事業も活発に展開しております。  このように、徐々にではございますが、区民への普及啓発や、緑化推進などの事業が定着しつつあると考えております。環境などの保全契約につきましては、土地所有者に対し、趣旨の理解を求めるため、積極的に啓発活動を行っておりますが、地価の高騰、相続などの問題により、協定による保全を行うにとどまっております。今後につきましては、より一層のPR活動を拡充いたしまして、土地の所有者にご理解とご協力をお願いするとともに、創意工夫を凝らしまして緑の保全、創出に努力してまいりたいと考えております。  次に、区との役割分担でございますが、ご承知のとおり、区では保存樹林、樹木の保護、地域緑化、公共施設緑化、開発における緑化指導などの法令に基づいた環境の保護及び回復に関する施策を展開しております。一方、緑の保全、創出につきましては、区民一人一人が緑の重要性を認識し、区民みずからが環境づくりへの自発的な取り組みを重ねることが何よりも大切でございます。  そこで、トラスト協会は、高齢者から子供までの区民各層、さらには民間団体、企業も含めまして、多くの方々が多面な場面で主体的に参加できる緑のトラスト活動を通し、これまでの行政対応では限界が見えております環境保全などの分野を補っていただく組織として活動しているわけでございます。また、トラスト基金の果実を運用して、固定資産税の税制面での援助を行い、樹林地所有者と緑地の保全契約を結ぶなど、自然環境や、文化的あるいは歴史的環境を保全する事業も展開することといたしております。  ご提案のございました生産緑地の指定を受けなかった農地につきましても、自然環境保全や乱開発防止のため、できるだけ長期にわたって現状を維持できるよう工夫すべきであると考えております。具体的には、クラインガルテンを初め、学校農園や福祉農園など幅広く活用する方法を検討いたしまして、農家の方々のご協力とご理解を得て、農地の保全に努めてまいりたいと考えております。  そのため、トラスト協会の活用についても、協会側と検討しておりますが、協会が直接事業を行うには、農家のご協力を得るための措置といたしまして、税制または制度運用の面からいろいろな問題が予想されます。そこで、財源確保を含めまして、区が直接農地として維持できる方策を講じ、事業の維持運営面で協会の協力を得る方法など、今後、鋭意検討してまいりたいと考えております。 ◎北沢総合支所長(西倉義憲 君) 地域行政制度についてのご質問のうち、地域課題の掘り起こしと窓口サービスにつきまして、お答えを申し上げます。  ご指摘のように、地域にはいろいろな課題がございます。地域行政制度におきましては、本所、総合支所、出張所のネットワークによりまして、これらの地域の課題や要望を日常的に的確にとらえ、反映させようとしておりますけれども、昨年は広く地域住民の参加を得るため、各総合支所ごとに出張所を単位とする地区懇談会を開催いたしました。その結果、各地区ごとにさまざまなご意見、ご要望をいただき、対応できるものにつきましては速やかに対応し、また長期的課題につきましては検討課題として整理してきたところであります。  今年度は、さらに地区カルテ、地域計画原案づくりなどに着手しております。地区カルテは、出張所を中心として、地区の特性、課題を住民の方々と一緒に整理し、まちづくりに生かしていこうとするものであります。また、地域計画原案につきましては、住民の方々のご意見を取り入れながら、それぞれの地域の特性や課題を踏まえた上で、地域の将来像、まちづくりの方向などをまとめていこうとするものでございまして、次の基本計画につながる地域からの提案とも言えるものであります。このような新しい手法も活用しながら、地域課題の掘り起こしとその把握に努めてまいりたいと存じております。  また、区民サービスの向上の上からは、身近な窓口で、総合的に処理できる窓口の設置が理想でございます。平成三年度の地域行政制度の発足に当たりましては、従来から進めてまいりました住民情報のオンラインシステムによるサービスの一層の充実を図りまして、住民サービスが受けやすくなったと好評をいただいておりますけれども、週休二日制の実施や、住民のライフスタイルの変化などともに、新たな住民ニーズの多様化への対応が求められてきております。  したがいまして、ご指摘の点につきましては、情報機器やOA化の進展を踏まえまして、住民の立場に立ったサービス向上の視点から、今後もさらに検討を加えてまいる所存でございます。  以上でございます。 ◆五十番(土田正人 君) 時間もありませんので、今までの各課題に対するご答弁、多といたします。そして特にその中でも、大変景気の低迷等で苦しい状況にありますので、財源の確保については十分ご努力いただきまして、事業が支障を来さないように進展するようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(小畑敏雄 君) 以上で土田正人君の質問は終わりました。  これで各会派の代表質問は終了いたしました。  なお、一般質問は議事の都合により、十六日の本会議で行いますので、ご了承願います。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。    〔関次長朗読〕 ●報告第四十六号 平成三年度株式会社世田谷サービス公社の経営状況に関する書類の提出外報告六件 ○議長(小畑敏雄 君) 本七件についてご質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご質疑なしと認めます。  以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) これより日程に入ります。 △日程第一から △第八に至る八件を一括上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第一 議案第八十二号 平成四年度世田谷区一般会計補正予算(第一次)外議案七件 ○議長(小畑敏雄 君) 本八件に関し、提案理由の説明を求めます。吉越助役。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) ただいま上程されました議案第八十二号より議案第八十九号に至る八件につきましてご説明申し上げます。  まず、議案第八十二号「平成四年度世田谷区一般会計補正予算(第一次)」につきましてご説明いたします。  本件は、平成四年度当初予算編成以後の財政運営につきまして、都支出金や繰入金などを追加財源として補正計上するものでございます。補正計上額は百二億一千五百七万八千円でありまして、補正後の歳入歳出予算総額はそれぞれ二千三百五十一億四千五百七万八千円となるものでございます。  歳入について申し上げますと、都支出金を初め繰入金、繰越金、特別区債などの財源を追加計上しており、国庫支出金につきましては減額補正するものでございます。  歳出につきましては、人件費二千八百二万七千円、行政運営費五億二千八百六十三万六千円、投資的経費九十六億五千八百四十一万五千円の補正計上となっております。また、債務負担行為につきましては、追加で二件を補正するものでございます。  次に、議案第八十三号「平成四年度世田谷区国民健康保険事業会計補正予算(第一次)」についてご説明いたします。  本件は、助産費の単価改定に伴う経費などの補正で、計上額は二億八千百十七万二千円で、補正後の歳入歳出予算総額は三百三十一億五千三百三十二万四千円とするものでございます。  次に、議案第八十四号「平成四年度世田谷区老人保健医療会計補正予算(第一次)」についてご説明いたします。  本件は、平成三年度に収入いたしました国庫支出金の清算にかかわる返還金の補正計上でありまして、計上額は四百六万六千円で、計上後の歳入歳出予算総額は三百九十九億三千四百五十八万九千円とするものでございます。  次に、議案第八十五号「平成四年度世田谷区中学校給食費会計補正予算(第一次)」についてご説明いたします。  本件は、中学校給食費会計における前年度繰越金の補正計上であります。計上額は三百四十七万四千円、補正後の歳入歳出予算総額は六億四千百八十九万九千円となっております。  次に、議案第八十六号「世田谷区基本構想審議会条例」についてご説明いたします。  本件は、社会経済状況が変化し、新たな課題に対する区の役割が高まる中で、二十一世紀の世田谷区の新たなまちづくりの指針として基本構想を改め、基本計画を策定していくため、区長の附属機関として世田谷区基本構想審議会を設置する必要があるので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第八十七号「世田谷区農業委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」についてご説明いたします。  本件は、完全週休二日制実施に伴い、支給期日に関しての規定の整備を図る必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第八十八号及び議案第八十九号の二件につきましてご説明いたします。  まず、議案第八十八号につきましてご説明いたします。  本件は、砧図書館の移転に伴う新築工事に関するものであります。  次に、議案第八十九号につきましてご説明いたします。  本件は、都営住宅の建てかえに伴い、その一部を区立文化施設として整備するものであります。  議案第八十八号及び議案第八十九号の二件の契約締結につきましては、いずれも地方自治法施行令第百六十七条第一号の規定に基づきまして、指名競争入札により実施いたしました。業者の指名に当たりましては、それぞれの工事の規模、設計内容等を慎重に検討いたしまして指名を行い、入札に付しました。
     その結果、議案第八十八号「仮称世田谷区立砧図書館新築工事請負契約」は、大明・大仲建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と十億二千二百七十九万円で契約しようとするものであります。  議案第八十九号「仮称世田谷区立上用賀文化施設内装工事請負契約」は、立石建設株式会社が落札し、同社と二億六千四百十九万五千円で契約しようとするものであります。  これら二件の契約の締結につきましては、地方自治法第九十六条第一項第五号並びに「世田谷区議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」第二条の規定に基づきご提案申し上げた次第であります。  以上、議案第八十二号より議案第八十九号に至る八件につきまして、よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本八件を企画総務委員会に付託いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、 △日程第九を上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第九 議案第九十号 世田谷区立区民センター条例の一部を改正する条例 ○議長(小畑敏雄 君) 本件に関し、提案理由の説明を求めます。川瀬助役。    〔助役川瀬益雄君登壇〕 ◎助役(川瀬益雄 君) ただいま上程になりました議案第九十号「世田谷区立区民センター条例の一部を改正する条例」につきましてご説明申し上げます。  本件は、桜丘区民センター運営協議会の解散に伴い、同区民センターの管理委託を廃止するため、条例の一部を改正する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本件を区民生活委員会に付託いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、 △日程第十及び △第十一の二件を一括上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第十 議案第九十一号 世田谷区福祉奨学資金等貸付条例の一部を改正する条例外議案一件 ○議長(小畑敏雄 君) 本二件に関し、提案理由の説明を求めます。吉越助役。    〔助役吉越一二君登壇〕 ◎助役(吉越一二 君) ただいま上程になりました議案第九十一号及び議案第九十二号の二件につきましてご説明申し上げます。  まず、議案第九十一号「世田谷区福祉奨学資金等貸付条例の一部を改正する条例」についてご説明いたします。  本件は、医療法の改正に伴い、規定の整備を図る必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十二号「世田谷区立精神薄弱者援護施設条例」についてご説明いたします。  本件は、弦巻二丁目一番五号に建設中であります重度精神薄弱者の通所更生施設、仮称第二生活実習所を、精神薄弱者福祉法に基づく世田谷区初の精神薄弱者援護施設として整備するに当たり、新たに条例を制定する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  以上、議案第九十一号及び議案第九十二号の二件につきまして、よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本二件を福祉保健委員会に付託いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、 △日程第十二を上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第十二 諮問第一号 人権擁護委員候補者推薦の諮問 ○議長(小畑敏雄 君) 本件に関し、提案の理由の説明を求めます。大場区長。    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) 人権擁護委員候補者の推薦の諮問についてご説明いたします。  本件は、平成四年十二月十四日をもって任期満了となります二名の後任候補者を、法務大臣の依頼を受けまして推薦するものであります。  候補者につきましては、法の趣旨にのっとり、世田谷区保護司会、世田谷区法曹会の各団体からご推薦いただいたものであります。慎重に検討いたしました結果、推薦することを適当と認めまして、人権擁護委員法第六条第三項の規定に基づき、お諮りするものであります。  よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本件は、会議規則第三十八条第二項の規定により、委員会付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご異議なしと認めます。よって本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。  本件に関し、ご意見はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご意見なしと認めます。  これより採決に入ります。  お諮りいたします。  本件について諮問どおり答申することにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご異議なしと認めます。よって諮問第一号は諮問どおり答申することに決定いたしました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、 △日程第十三から △第十九に至る七件を一括上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第十三 議案第九十三号 世田谷区営住宅管理条例の一部を改正する条例外議案六件 ○議長(小畑敏雄 君) 本七件に関し、提案理由の説明を求めます。川瀬助役。    〔助役川瀬益雄君登壇〕 ◎助役(川瀬益雄 君) ただいま上程になりました議案第九十三号より議案第九十九号に至る七件につきましてご説明申し上げます。  まず、議案第九十三号「世田谷区営住宅管理条例の一部を改正する条例」についてご説明いたします。  本件は、世田谷区営鎌田二丁目アパート及び世田谷区営桜上水三丁目アパートを設置し、あわせて規定の整備を図るため、条例の一部を改正する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十四号「世田谷区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」につきましてご説明いたします。  本件は、松原二丁目地内に明大前駅北側地区地区計画が都市計画決定されたことに伴い、条例の一部を改正する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十五号「世田谷区都市計画審議会条例の一部を改正する条例」についてご説明いたします。  本件は、世田谷区都市計画審議会の委員に関係行政機関の職員を加え、あわせて規定の整備を図るため、条例の一部を改正する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十六号「世田谷区立児童遊園条例の一部を改正する条例」についてご説明いたします。  本件は、世田谷区立向山児童遊園及び世田谷区立祖師谷四丁目児童遊園を設置するため、条例の一部を改正する必要が生じましたので、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十七号「負担附贈与(仮称世田谷区営鎌田二丁目アパート・世田谷区営桜上水三丁目アパート等)の受入れ」についてご説明いたします。  本件は、東京都より世田谷区営鎌田二丁目アパート及び世田谷区営桜上水三丁目アパートなどの用地と建物を無償で負担附贈与する旨申し入れがあり、これを受け入れるため、地方自治法第九十六条第一項第九号の規定に基づき、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十八号「財産(仮称世田谷区職員住宅若林住宅用建物)の取得」についてご説明いたします。  本件は、仮称世田谷区職員住宅若林住宅を設置するため、建物を七千三百三十一万二千七百九十一円にて取得するものであります。  建物の取得につきましては、地方自治法第九十六条第一項第七号並びに「世田谷区議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」第三条の規定に基づき、ご提案申し上げた次第であります。  次に、議案第九十九号「特別区道路線の認定」につきましてご説明いたします。  本件は、新たな特別区道の路線の認定に関するものでありまして、道路法第八条第二項の規定に基づき、ご提案申し上げた次第であります。  以上、議案第九十三号より議案第九十九号に至る七件につきまして、よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本七件を都市整備委員会に付託いたします。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 次に、 △日程第二十から △第二十三に至る四件を一括上程いたします。  〔関次長朗読〕  日程第二十 同意第五号 世田谷区名誉区民選定の同意外同意三件 ○議長(小畑敏雄 君) 本四件に関し、提案理由の説明を求めます。大場区長。    〔区長大場啓二君登壇〕 ◎区長(大場啓二 君) ただいま上程になりました同意第五号から第八号に至る「世田谷区名誉区民選定の同意」について、提案理由をご説明いたします。  本件は、世田谷区名誉区民条例に基づいてご提案申し上げるものでございます。昭和三十五年に本条例が制定されて以来、昭和三十七年、大場信續氏を初めといたしまして十名の方々を選定させていただいております。  このたび、区制六十周年という意義深い年を迎えまして、先般、各界の代表による世田谷区名誉区民選考委員会を設置して審議をお願いし、次の四氏の推薦をいただきました。これらの方々は、区民生活及び文化の向上に深く貢献され、最もこれに値する方々と確信いたしますので、ここにご提案申し上げる次第であります。  まず、同意第五号についてご説明申し上げます。  石井薫氏は、終始一貫して社会福祉の理念を実行に移され、世田谷区で初めて特別養護老人ホームを開設し、地域における在宅福祉サービスの発展に貢献されていらっしゃる方でございます。世田谷区民生委員推薦会、世田谷区老人ホーム入所判定委員会などの区内外の数多くの審議会の委員を務められ、地方自治の発展、老人福祉などに寄与されていらっしゃいます。  次に、同意第六号についてご説明申し上げます。  江間章子氏は、「夏の思い出」「花のまち」など、日本情緒あふれる歌の作詞を初め、一筋に詩人の道を歩まれていらっしゃいます。世田谷文学賞の選者として、また世田谷うたの広場代表世話人として、常に世田谷区民の文化活動の支えとなられ、世田谷区の文化振興の発展に寄与されていらっしゃいますほか、区民まつりなどを通じて、他の自治体と世田谷区との交流を積極的に進めるなど、幅広い活躍をされていらっしゃいます。
     次に、同意第七号についてご説明いたします。  人見楠郎氏は、日本の私学界において中心的役割を果たされる傍ら、世田谷区の国際化に関する懇談会会長、世田谷区生涯学習推進懇談会委員など、区内外において数多くの審議会委員を務められ、地方自治に貢献されていらっしゃいます。昭和女子大学構内の人見記念講堂は、区民にすばらしい芸術を提供する場となっており、また世田谷区文化会議委員として、世田谷区の文化振興にも寄与されていらっしゃいます。  最後に、同意第八号についてご説明いたします。  森繁久彌氏は、我が国を代表する演劇界の重鎮であり、大衆芸能の先駆的存在として、その道を切り開かれた方でございます。舞台に、テレビに、随筆にと幅広く活躍され、深みのある演技と人情味で人々を魅了していらっしゃいます。世田谷区文化会議委員として、世田谷区の文化振興に尽力される一方、あゆみの箱などの慈善事業へ貢献されるなど、福祉や文化に幅広い活動をされていらっしゃいます。  以上の方々は、改めて申し上げるまでもなく、区民が郷土の誇りとして尊敬するにふさわしい方々でございますので、世田谷区名誉区民条例第二条の規定に基づき、世田谷区名誉区民の称号を贈り、その功績をたたえようとするものでございます。  以上、同意第五号から第八号の四件につきまして、何とぞ原案どおりご同意賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(小畑敏雄 君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本四件は会議規則第三十八条第二項の規定により、委員会付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご異議なしと認めます。  よって本四件は委員会付託を省略することに決定いたしました。  本四件に関し、ご意見はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご意見なしと認めます。  これより採決に入ります。本四件を一括して決したいと思います。これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小畑敏雄 君) ご異議なしと認めます。よって本四件を一括して決することに決定いたしました。  採決は起立によって行います。  お諮りいたします。  同意第五号から第八号に至る四件について同意と決定することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○議長(小畑敏雄 君) 起立全員と認めます。よって同意第五号から第八号に至る四件は同意することに決定いたしました。    ───────────────── ○議長(小畑敏雄 君) 以上をもちまして本日の日程はすべて終了いたしました。  なお、十六日の本会議は午前十時から開催いたしますので、ご参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十三分散会...